ワルプルギスの夜の5月の晩。アーカムでは魔女が存在していると言われていました。そして、街で子供が行方不明になるなど、アーカムでは必ず悪いことが起こります。
そして、今回は大学の学生が遺体となって発見されます。この事件の解決のために、アーカム警察署は、専門知識を有するあなたに助力を求めました。
ワルプルギスの夜が終わってしまうと、証拠は何も残らないでしょう。あなたはこのアーカムで、ワルプルギスの夜が終わるまでに事件の真実を見つけなければなりません。
基本情報
プレイヤー人数:1人
プレイ時間:約30分
対象年齢:14歳以上
ゲームデザイナー:イヴ・トゥリニー
「アーカム・ノワール 事件簿1 魔女教団の殺人」はどんなゲーム?
「アーカム・ノワール」は、クトゥルフ神話を題材にした1人用のボードゲームです。事件簿1とあるように、すでに続編の発売も決定しています。
プレイヤーは私立探偵として、次々と発生する殺人事件の証拠を集めていきます。ゲーム内容はカードのみを使用しており、ソリティアを何重にも工夫を加えたような感じです。
ゲームの難易度も変更できるので、初心者の方でも安心して遊ぶことができるでしょう。
ゲームの遊び方
ゲームの準備
まず最初に、4枚のセットアップカードを指定の場所に置きましょう。場所は上の画像を参考にしてください。その後は、以下の手順に従ってゲームの準備を進めましょう。
- 6枚の犠牲者カードをシャッフルし、そのうち1枚を内容を確認せずに除外しておきます。その後、犠牲者の山札をセットアップカード1の右側に設置。
- 犠牲者の山札から2枚カードを引いて、セットアップカード2の下に1枚ずつ設置。ここは、「現在の事件」置き場と呼びます。
- 50枚の手がかりカードをすべてシャッフルして、山札を作ります。その手がかりの山札をセットアップカード1の左側に設置。
- 手がかりの山札から5枚カードを引きます。手がかりの山札の左側に引いた順に左から5枚を並べていきます。ここで一番左にあるカードを「最初の手がかりカード」になります。
- 手がかりの山札から手札となるカードを3枚引きます。
- 専門家カードを「現代の事件」置き場の左側に置きます。専門家カードは表裏ありますが、任意の面を上にしてください。
以上でゲームの準備は終了です。
ゲームの目的
このゲームは事件を解決することが目的です。そのためには、事件の真相に必要なパズルピースが5つ必要になります。
被害者が一定の人数になったり、探偵が発狂する前にパズルピースを集めなくてはなりません。証拠を集め、事件を解決しながらパズルピースを集めてください。
ゲームの流れ
ゲームは以下のラウンドの手順を繰り返しましょう。1回のラウンドは、2つのフェイズで構成されています。1つはアクションフェイズ、2つ目は終了フェイズです。順番に解説していきますね。
1.アクションフェイズ
まずは、場から「最初の手がかり」カードを手に取ります。その後に次の5つの選択肢の中から1つを選択してください。
A.「最初の手がかり」カードを手札に加える
「最初の手がかり」カードを手札に加えます。しかし、手札の上限は3枚までなので、手札が4枚になるようなら、手札が3枚になるようにカードを捨ててください。
B.「最初の手がかり」カードを使用する
「最初の手がかり」カードを手札に加えずに、そのまま使用します。使用するということは、「現在の事件」置き場(セットアップカード2の下にあるもの)のカードの右側にカードを出すということです。そして場にカードを出すには、ある条件を満たす必要があります。
場に出すカードは、カードの左端に描かれたシンボルと、犠牲者カードの右側に描かれたシンボルが一致している必要があります。2つのシンボルが描かれている場合は、どちらか一方が一致していれば、場に出すことが可能です。
ちなみに、「全て」と記載されている場合は、どんなシンボルにも一致させることができます。以下の画像で例をみてみましょう。
上の画像を見ると、一番左のカードのシンボルは「吹き出し」と「目」のシンボルがあります。そのうちの1個のシンボルが合えば、場にカードを置くことが可能です。この場合ですと、左のカードは「目」のシンボルが1個一致しているので、場に出せました。右側も同じように「本」のシンボルが一致しているので、場に出せます。
特殊なシンボルについて
シンボルによってはカードを出すのにさらにある条件が必要なカードがあります。それが鍵シンボルと鍵穴シンボル、黒の3が描かれたシンボルです。それら3つの特殊なシンボルについて解説していきますね。
・鍵シンボル
鍵シンボルは、鍵穴シンボルを出す前に場にだしておかなければならないカードです。1つの鍵穴シンボルにつき、1つの鍵シンボルが必要になります。
・鍵穴シンボル
上記と同じように鍵シンボルが先に場にでていないと、場に出せないカードです。このカードが場にあるとパズルピースを獲得することができます。当然鍵穴シンボルのカードを2枚場に出す場合は、先に鍵シンボルのカードを2枚場に出しておくことが必要です。
・黒の3シンボル
このシンボルがあるカードを場に出すには、3枚以上のカードがすでに場に置かれていることが条件になります。
C.「最初の手がかり」カードを捨てて、手札を使用する
最初にとった「最初の手がかり」カードをそのまま捨てます。その後に手持ちの手札からカードを1枚選び、場に置きましょう。
D.「最初の手がかり」カードを捨てて、パスする
最初にとった「最初の手がかり」カードをそのまま捨てます。
E.「最初の手がかり」カードを捨てて、現在の事件を終わらせる
「最初の手がかり」カードを捨てた後に、ある条件を達成していれば、現在の事件を終わらすことができます。ある条件とは、対象の事件である被害者カードの右側に置かれたカード(場に出したカード)の中に、カードの上部に描かれている、手がかりシンボルの種類が5種類以上あることが条件です。
さらに現在の事件を終了させた時、パズルピースのシンボルがある場合は、そのカードを「事件の全体像」置き場(セットアップカード3の左側)に置いておきます。この時、取り除いたパズルピースのカードは5種類の手がかりの中に入りません。つまり、パズルピースを除いた状態で、5種類の手がかりがあるように場にカードがないといけないことになります。
上記の内容を確認し、問題ないようなら現在の事件を終わらせることができます。終わらしたら対象となった被害者カードと置かれた手がかりカードをまとめて、「終了した件」カード置き場(セットアップカード3の上部)においておきましょう。
アクションフェイズにおける、その他のルール
*カードを捨てる時の注意点(砂時計について)
各アクションフェイズで、カードを捨てる時に注意することが一点あります。それはカードに右下に記載されている砂時計シンボルが描かれているカードのことです。
砂時計シンボルが描かれているカードを捨てる場合は、普通にカードを捨てるのとは別に違う場所に捨てる必要があります。その場所はセットアップカード4の右側の「時間切れカード置き場」です。ここに砂時計シンボルが描かれたカードを捨てます。
もし、「時間切れカード置き場」に5枚のカードが捨てられたら、新たな事件が発生し、次の被害者が出てしまいます。つまり、砂時計シンボルが描かれたカードが5枚捨てられたら、犠牲者カードの山札から新たに1枚カードを引き、「現在の事件」置き場に縦に置きましょう。
新たな犠牲者カードを設置したら、「時間切れカード置き場」に置かれた5枚のカードを通常の捨て札置き場に移動させます。
上記の処理は終了フェイズで行いますので、頭にとどめておいてください。
*狂気について
事件の操作を続けていると、心身が消耗して狂気に陥る可能性があります。もし、「現在の事件」置き場に7枚目の手がかりカードが置かれたら、狂気度チェックを行いましょう。
正気度チェックのやり方は簡単です。手がかりカードの山札の1枚を引いて内容を確認します。そのカードの右下にペナルティ・シンボル(上記の画像)があれば、そのカードを狂気エリア(セットアップカード3の右側)に並べましょう。ペナルティ・シンボルが描かれていないカードなら、そのまま捨て札にして構いません。
そして、狂気エリアに5枚のカードが並べられたら、あなたは発狂したことになります。そうなるとゲームに敗北したことになるので、注意しましょう。
*カードの効果について
カードを場に出した時、そのカードの下に記載されているシンボルごとの効果を使用することができます。
描かれているシンボルが茶色なら任意で効果を使うことができ、黒色なら絶対にカードの効果を処理しなければなりません。効果が複数描かれいるのなら、左から順番に処理していきましょう。
能力については以下の画像を参考にしてください。▼
2.終了フェイズ
アクションフェイズが終了したら、終了フェイズに入ります。
1.勝利条件の確認
まずは「事件の全体像」エリアに5枚のパズルピースがあるなら、ゲームは終了です。事件を解決したことになり、あなたの勝利となります。
2.狂気エリアの確認
狂気エリアのカードに5枚のカードがあるかないか確認しましょう。もし5枚のカードがあったら、あなたは発狂したことになります。そうなると、あなたの敗北となりゲームは終了です。
3.時間切れカード置き場の確認
時間切れカード置き場に5枚のカードがある場合は、新たな犠牲者カードを場に出す必要があります。アクションフェイズの「*カードを捨てる時の注意点」を参照してください。
4.手がかりの山札の補充
手がかりカードの列を補充します。一番左側の部分が空いてしまっているので、他のカードを全て左側に寄せましょう。すると、手がかりカードの山札の左側に空きができます。そして、新たに手がかりカードの山からカードを1枚引き、空いたところにカードを置きましょう。
もし、手がかりカードの山札が尽きてしまった場合は、次の手順で処理してください。
- 犠牲者カードの山札から1枚カードを引き、「現在の事件」置き場に置きます。
- 捨て札にある手がかりカードを全て回収しシャッフル。新たな山札を作り、その山札からカードを引きます。
専門家カードの使い方について
専門家カードは、ゲーム中にいつでも使用することができます。しかし、1回その効果を使用したら、専門家カードはゲームから取り除かなくてはいけません。専門家カードには、両面に異なる効果が記載されています。どちらを使用するか、よく考えて使用してください。
①鍵のシンボルの面
→手がかりの列に、すでに鍵シンボルが存在しているようになります。つまり、鍵穴シンボルのカードを一度だけ、無条件に場に出すことができるのです。
②交換シンボルの面
→時間切れカード置き場、或いは狂気エリアに置かれたカード1枚と、自分の手札1枚と交換することができます。
ゲームの終了
このゲームの終了は次の3パターンしかありません。よく確認しておきましょう。
- 「事件の全体像」カード置き場に、パズルピースが5枚以上ある場合。
→プレイヤーの勝利です。 - 狂気エリアにカードが5枚以上ある場合
→プレイヤーの敗北です。 - 犠牲者カードの山札が尽き、次に犠牲者カードを引くことになった場合
→プレイヤーの敗北です。
ゲームの難易度について
このゲームは、下記のルールを好きな組み合わせで導入することで、難易度を変更することができます。ゲームに慣れた方はぜひ挑戦してみてください。
1.パズルピースの数
勝利に必要なパズルピースの数が5枚から6枚に変更することができます。
2.ゲームに使用する犠牲者カードの枚数
ゲーム準備時に2枚〜0枚の犠牲者カードを取り除く。2枚が難しく、0枚が易しいです。
3.狂気エリアのカードの枚数
敗北条件となる、狂気エリアに置くことができるカードの枚数を6枚にすることができます。これは難易度が通常より易しくなります。
感想:デザインと雰囲気が最高で難易度も絶妙!
「アーカム・ノワール」で最初に思ったことは、何と言ってもそのデザインの良さについてです。本作はクトルゥフ神話をベースにしたサスペンスよりのボードゲームですが、デザインがゲームの舞台と見事にマッチしていて、思わず手に取りたくなるようなゲームだと思います。
さて、実際に遊んでみたらどうなるのか心配でしたが、それも杞憂でした。ゲームバランスも悪くなく、悩みどころも多くあって楽しく遊ぶことができます。最初はうまく回せないので、悔しくて何回でもプレイしたくなりました。
このゲームで悩むところは、いかにして狂気度を上げないでゲームを進めていくかに尽きるでしょう。
7枚以上カードを場にだすと、次からカードを出す時に狂気度が上がってしまう可能性が十分にあります。このあたり、運要素も強いので運が悪い人はあっという間に狂気度が上がってしまうので、注意が必要です。
また、カードの出し方も十分に考慮する必要がります。単純にシンボルをつなげていいわけではありません。鍵シンボルを先に出す必要がありながら、鍵穴とパズルピースも必要。そして、7枚以上になったら狂気度も上がるので、その点も注意です。そこでカードの能力もうまく使っていかなくてはなりません。
このようにただカードを並べていくだけと言っても、考慮するべき点は多くあります。狂気度を上げずに、うまくパズルピースを集めていく。口でいったら簡単そうに見えますが、実際に遊んでみるととても悩ましい選択の連続です。全てが上手く回るということはまずないでしょう。そんな絶妙なバランスだからこそ、熱中しやすいゲームだと感じるのです。
まとめ
「アーカム・ノワール」はデザインと雰囲気が良く、続編も決定している1人用ボードゲームでした。カードだけを使用したゲームですが、ゲームバランスも良く、熱中しやすいボードゲームです。
悩ましい選択が連続し、うまく回らない歯がゆさは他のゲームではなかなか味わえないでしょう。コンパクトなゲームでありながら、よく作り込まれたゲームだと思いました。ぜひ興味のある方は手にとって遊んでみてください。