狂気に陥った天才科学者がとある爆弾を開発しました。その爆弾とは、地球の自転方向を逆回りにしてしまうというタイムボムです。悪用されるとそれは恐ろしいことになってしまいます。
タイムボムを狙う組織は2つ。1つはタイムボムの解除を目的とする時空警察タイムポリス。もう1つはタイムボムの悪用を考え、爆発を目論むボマー団です。
2つの組織はタイムボムのある研究所に侵入します。しかし、そこにはタイムポリスの格好をしたボマー団もいてー?
基本情報
プレイ人数:2人〜8人
プレイ時間:約30分
対象年齢:10歳以上
ゲームデザイナー:佐藤雄介
「タイムボム」はどんなゲーム?
「タイムボム」は所謂正体隠匿系ゲームです。正体隠匿系ボードゲームと言えば、「人狼」などが有名ですよね。決められた自分の役割を他の人にバレないようにしていくゲームです。
「人狼」との大きな違いは、途中で脱落者が出てこないという点と、少人数でも遊べるという点。加えて運の要素も絡んでくるので、ボードゲーム初心者の方でも遊びやすい内容となっています。
ゲームの遊び方
ゲームの準備
- プレイ人数によって決められている規定の種類と枚数の「陣営カード」を用意する。
- 今回のゲーム中に使用する「陣営カード」をよくシャッフルし、裏向きで各プレイヤーに1枚ずつ配布する。
- 各プレイヤーは、配られた「陣営カード」を他の人にバレないように確認する。
- プレイ人数によって決められている枚数の「導線カード」を用意する。
- 今回のゲーム中に使用する「解除の導線カード」の枚数と同じ数だけ、「解除チップ」を中央に用意する。
- 使用する「導線カード」をよくシャッフルして、裏向きのまま各プレイヤーに5枚ずつ配布する。
- 各プレイヤーは他の人に見えないように、自分の「導線カード」を確認する。確認したら、手元に5枚ある「導線カード」をよくシャッフルし、裏向きで並べます。(カードは何があったかだけ覚えていればOKです)
- 適当な方法でニッパー係(スタートプレイヤー)を決める。スタートプレイヤーになった人は「ニッパータイル」を受け取りましょう。
*「導線カード」はゲーム中何度も確認して構いませんが、確認するたびにシャッフルしてテーブルに並び直して下さい。
ゲームの流れ
「タイムボム」はラウンド制でゲームが進行します。ラウンドは全部で4回です。
各ラウンドは「導線カードの切断」と「ニッパー係の交代」を繰り返します。ここでは、ラウンド中の流れを説明していきますね。
①「導線カードの切断」
ラウンドの最初は導線カードの選択(切断)から始まります。
ニッパータイルを持っているプレイヤー(ニッパー係)は、以下の通りに行動して下さい。
- 自分以外の伏せられている導線カードを1枚選ぶ。
- 選んだ導線カードの前にニッパータイルを置く。
- 選んだ導線カードを表にする。
選んだ導線カードの種類によって、処理方法が異なります。
以下の通りに処理を行って下さい。
A.「解除」だった場合
選んだ導線カードが「解除」だった場合、中央にある解除チップを裏返し(青)にします。もし、このチップが全て青になったら、タイムボムは完全に解除されたことになり、ゲームは終了です。
B.「BOOM」だった場合
選んだ導線カードが「BOOM」だった場合、タイムボムが爆発してしまいます。この場合は、すぐにゲーム終了です。
C.「し〜ん・・・・・・」だった場合
特になにも起こりません。
*導線カードを選択する時、誰の導線カードを切断するべきかプレイヤー間で話し合って下さい。この話し合いが「タイムボム」の一番の目玉です。
話し合いの際は、嘘をついても全く構いません。また、自分は解除を持っていると宣言してもOKです。要は何を言っても構いません。
自分の陣営が勝つために、あらゆる話し合いをしてみましょう。
②「ニッパー係の交代」
導線カードを選択されたプレイヤーが、次のニッパー係となります。
目の前に置かれたニッパータイルを受けとり、次の導線カードを選択しましょう。つまり、ニッパー係は導線カードを選択するだけでなく、次のニッパー係を選択することにもなります。
ラウンドの終了
以上の「導線カードの切断」と「ニッパー係の交代」の一連の処理を、プレイ人数と同じ回数だけ行われたら、1ラウンド終了です。
例:4人プレイ時は4回、導線の切断とニッパー係を交代したら1ラウンド終了
1ラウンド終了したら、次のラウンドの準備に移ります。以下の手順で次のラウンドの準備をして下さい。
- 全員のまだ切断されていない導線カードを裏向きのまま回収する。切断された(選択された)導線カードはゲームから除外しておきましょう。
- 回収した導線カードをシャッフルし、各プレイヤーに配布する。この時配布する枚数は、前のラウンドより1枚少なくなります)
- ニッパータイルを持っているプレイヤーが、次のラウンドの最初のニッパー係となり新たなラウンドのスタートです。
ゲームの勝敗
ゲーム中以下の条件が満たされた場合に、ゲームは終了です。
・全ての解除を切断した(全ての解除チップが青になった)
→タイムポリス陣営の勝利です。
・「BOOM」が切断された
→ボマー団陣営の勝利
・4ラウンドが終了した
→時間切れによるタイムボムの爆発により、ボマー団陣営の勝利
ストーリーカードについて
ストーリーカードは、直接ゲームのルールに関係するわけではありません。しかし、より「タイムボム」の世界に入り込むことができるおまけのようなものです。
ゲーム開始前に読む、「オープニングカード」やゲーム終了時に読む「エンディングカード」があります。勝った陣営の個別のエンディングのようなものです。
よりゲームを楽しむためにぜひ導入してみて下さい。
2人プレイについて
「タイムボム」の特徴で、2人プレイでも遊ぶことができることが挙げられます。
正体隠匿系のボードゲームは人数が多くないと遊べないゲームが多いですが、「タイムボム」では2人でも遊ぶことが可能です。
しかし、ちょっと変わったルールになります。ゲームは、仮想プレイヤーである「オオタさん」を加え、擬似的に3人プレイを行うことになるのです。ここでは2人で遊ぶ時のルールに関して解説しますね。
ルールの変更点
準備
オオタさんがいるように3人プレイと同じ準備をします。しかし、オオタさんの陣営カードも導線カードも確認することはできません
ゲーム中
オオタさんの導線カードを選択した場合、ニッパー係の交代の処理は以下の通りになります。
・「解除」だった場合
オオタさんの導線カードを切ったプレイヤーが、そのまま次のニッパー係となる。
・「し〜ん・・・・・・」だった場合
オオタさんの導線カードを切った人とは違うプレイヤーが、次のニッパー係になる。
以上が2人プレイのルール変更点です。他は通常通りのルールとなります。
追加ルールについて
「タイムボム」にはゲームに慣れた人向けの、追加ルールがあります。追加の要素は、第3陣営「スパイ」が加わることです。追加ルールはプレイ人数が何人でも追加することができます。ここではそんな追加ルールについて解説していきますね。
「スパイ」について
このゲームの第3陣営である「スパイ」は、タイムボムを開発した科学者が未来から送り込んだアンドロイドです。アンドロイドの目的は、タイムボムのデータを未来に持ち帰ること。
よって、データのコピーが終わるまでは、タイムボムを爆発させてはいけません。さらに、解除されることも阻止しなければならないのです。
ルールの変更点
追加ルールで変更されるところは、ゲームの準備と終了時のみになります。それ以外は通常のルールと変わりません。
準備
一番最初の陣営カードを各プレイヤーに配る前に、「スパイ」の陣営カードも加えて、プレイヤーに配布します。
陣営カードを配布した時、カードが余ってしまいますが、余ったカードはゲームから裏向きのまま除外して下さい。つまり、スパイがいるかもしれないし、いない可能性もあるのです。
ゲーム終了時
スパイの勝利条件は、「解除」も「BOOM」もさせずに、4ラウンドを終了させることです。そして、プレイヤーの中にスパイがいた場合、各陣営の勝利条件は下記のように変わります。
・すべての「解除」を選択した
→タイムポリス陣営の勝利
・「BOOM」が切断された
→ボマー団陣営の勝利
・4ラウンドが終了した
→スパイ陣営の勝利
*もし、プレイヤーの中に「スパイ」がいなかった場合、4ラウンドが終了した時は、通常通りボマー団陣営の勝利となります。
感想:正体隠匿系ゲーム初心者にピッタリなボードゲーム
「タイムボム」は正体隠匿系ゲームの中では、一番コンパクトにまとまっているボードゲームだと思います。
その理由は、ルールが非常に簡単かつ2人プレイでも遊べるというところと、脱落者が最後まで出ないといところです。
正体隠匿系ボードゲームでは大体多くのプレイヤーが必要になりますが、「タイムボム」は2人から8人まで遊べるので、遊びやすいです。また、最後まで脱落者がいないので最後まで全員が飽きずに遊ぶことができます。これらのことから、初心者が正体隠匿系ゲームの面白さを体感するにはピッタリなゲームではないでしょうか。
ゲーム中はプレイヤー同士の会話が盛り上がり、誰がどの役割なのかを推理するのがやはり楽しいです。しかし、どの導線を切るのかは運がどうしても絡んでくるので、ガチガチの推理を楽しみたいという方には少し物足りないと感じるかもしれません。
とは言っても、運要素があるから初心者でも慣れている人と対等に遊ぶことができます。そのため、運要素は初心者の人にとっては良いところと言えます。カジュアルに遊べる感じですね。
親しみやすいポップな絵柄も特徴的。2人プレイ用のオオタさんとかは製作者の遊び心が感じられます。こういうところも親しみやすいです。ところで、オオタさんって誰なんでしょうね笑
まとめ
「タイムボム」は、非常に手軽に遊べて初心者にはうってつけの正体隠匿系ボードゲームでした。運要素もあり、2人プレイからも遊ぶことができ、脱落者が最後まで出ないことから、初心者でも気軽に遊べます。
絵柄的にもサイズ的にも本当に馴染みやすいゲームです。正体隠匿系ゲームの面白さもしっかりと含んでいるので、初めて正体隠匿系ゲームをやる方にはピッタリなゲームだと思います。