人里離れた山奥の僻地に古びた館があります。その館は窓一つなく、非常に不気味です。
その館には「ハコオンナ」と呼ばれる怨霊が潜んでいます。
ハコオンナは小さな箱に詰め込まれ、外に出ることができなかった少女の霊と呼ばれています。出会ったら最後、生きては帰れないでしょう。
そんなハコオンナが住む館に、あなたはひょんなことから迷い込んでしまいました。果たしてあなたは無事にハコオンナから逃げられるでしょうか。
基本情報
プレイ人数:3人〜5人
プレイ時間:約45分
対象年齢:10歳以上
ゲームデザイナー:江神号
「ハコオンナ」はどんなゲーム?
「ハコオンナ」はサバイバルホラーを題材にしたボードゲームです。
プレイヤーの1人は、ハコオンナとなり館にやってきた他のプレイヤーたちを待ち構えます。館の訪問者であるプレイヤーたちは、ハコオンナに遭遇せずに館から脱出しなければなりません。
館から脱出するには様々なアイテムが必要です。アイテムは部屋の物陰などにありますが、気をつけて下さい。ハコオンナが待ち構えているかもしてません。もし、ハコオンナと遭遇してしまったら、死が待っているでしょう。
「ハコオンナ」は、そんなスリリングなサバイバルホラーボードゲームなのです。
ゲームの遊び方
ゲームの準備
このゲームは1人はハコオンナの役とその他館の訪問者に別れます。役割ごとにゲームの進め方が違うので、それぞれの役割から解説していきますね。
- 物音カードと物音トークンを用意する。赤い物音トークンは突起物が小さい方を使用します。
- 訪問者プレイヤーは、自分が使うコマの色を決め手元に置く。
- 自分が選んだ色の箱人チップも手元に置く。(余ったコマと箱人チップは除外しましょう)
- 各訪問者プレイヤーは、6種類の訪問者アイテムから各1枚をハコオンナプレイヤーの左側のプレイヤーから順番に選んで自分の手元に置く。
- 「1F Hall(1階ホール)」のマップタイルを場に出します。その後、残った8枚のマップタイルをまとめてシャッフルし、ハコオンナプレイヤーの左側のプレイヤーから1枚ずつ引く。
- 順番に引いたマップタイルの扉マーク(マップタイル4辺にある茶色の長方形)が、場にあるタイルの扉に繋がるように並べる。
- マップタイルを引いている時、「2F」と「地下室」だった場合は、「1F」にあたるタイル群と少し離れた場所に設置する。
- 「空箱」チップをまとめて一箇所にまとめる。
- 物陰チップの中から鍵番号チップ6枚を抜く。その後、ハコオンナプレイヤーはその鍵番号チップ6枚の中から3枚を選び、裏にして金庫カードの上に3枚並べて配置する。(余った鍵番号チップは後で他のチップと混ぜます。)
- ハコオンナプレイヤーは物陰チップの中から、討伐情報チップ(赤の斜線が入っているタイル)3枚を抜きます。その中から1枚を選んで、ハコオンナカードの弱点欄の箇所に裏向きで設置する。(余ったチップ後で他のチップと混ぜます)
- 「金庫」チップをマップタイルの物陰「書斎机の足元」に表向きで設置する。
- 「鍵束」チップを金庫カードの金庫の絵の上に置く。
- 「ハコオンナ」、「亡骸」チップを除いた物陰チップをまとめてシャッフルし、マップにある物陰(白い四角形の線内)に裏向きで置く。
以上が終了したら、以下は訪問者プレイヤーは全員目を閉じ、ハコオンナプレイヤーのみで行って下さい。
- 「亡骸」チップを好きな物陰に裏向きで置く。(すでにチップが設置してあるが、設置してあるチップと一旦手元に戻し「亡骸」チップを裏向きで設置する。その後、空いている物陰に手元のチップを置く)
- 「ハコオンナ」チップを「怨」の印のあるマップタイルの物陰に裏向きで設置する。その後、「亡骸」チップと同じように、交換したチップを別の空いている物陰に設置する)
以上で、ハコオンナプレイヤーの準備は終了です。この時点で訪問者プレイヤーには目を開けてもらって下さい。
- 手記カードNo.1~NO.10を並べる。
- ハコオンナプレイヤーは、「ハコオンナノチカラ」と記載されたカード10枚をまとめてシャッフルする。その後上から3枚を引き、その内容をハコオンナプレイヤーのみが確認し、3枚の内1枚を選んで手札にする。
- 残った9枚の「ハコオンナノチカラ」カードは再度まとめてシャッフルし、裏面が赤い「ゼツボウノジカン」カードを1番下にして山札とします。
- 訪問者コマすべてを1Fホールに設置する。
以上でゲームの準備は終了です。
ゲームの手順
ゲームは基本訪問者プレイヤーが手番を行っていき、その間にハコオンナプレイヤーのアクションが入り込むような形になっています。
まずはベースとなる訪問者プレイヤーの手順をみてみましょう。
訪問者プレイヤー
訪問者プレイヤーは、ハコオンナプレイヤーから時計回り順に手番を行っていきます。
■物音トークンを積む
まず物音チップとトークンを以下の画像のように配置して下さい▼
この状態のことを初期配置と呼びます。
手番の最初は物音チップの上に物音トークンを積むことから始めます。ここでトークンを崩さず積むことができたら、自分の手番を行うことができます。
- 物音トークンを積むルールは以下の通りです。
- 1枚目のトークンはチップの突起物にかかるように積む。
- 2枚目以降のトークンは1枚目のトークンの上に重ねる。
- 1枚目のトークンが突起物にかかっていない状態になったら崩れたとみなす。
- 2枚目以降のトークンがトークン以外の物に触れたら崩れたとみなす。
- 赤いトークンは突起部を上にしても下にしてもOK
トークンを崩してしまった場合はハコオンナのアクションが発生します。(ハコオンナプレイヤー参照)
*パスする場合
トークンを自分の手元に持ったままパスをすることができます。手元に持ったトークンは、初期配置に戻す時に戻します。
*トークンがなくなった場合
トークンがなくなった時は、その手番終了後にハコオンナのアクションが発生します。ハコオンナのアクションが終了次第、トークンを初期配置に戻します。
■3つのアクションから1つを実行する
物音トークンを見事積むことができたら以下の3つのアクションから1つを選んで実行して下さい。
①「部屋を移動する」
②「物陰を覗き込む」
③「アイテムを使う」
①「部屋を移動する」
マップタイルの扉が隣接している部屋間を1部屋移動します。移動する部屋の両方い扉マークがなければ移動はできません。
*「1Fホール」と「2Fホール」、「物置」と「地下室」の間も移動可能です。
②「物陰を覗き込む」
今自分がいる部屋の物陰のチップを1箇所だけ表面を確認できます。(2枚ある場合は同時に見る)この時、他の人には見えないようにして下さい。見たチップによって内容は変わります。
チップごとに効果が違うので、内容に合わせて処理をしましょう。2枚同時の時は、同時に効果を処理して下さい。取得した場合は、裏向きで自分の手元に置きましょう。
ちなみに、チップのない物陰を覗くことは不可能です。
めくったチップが除外などでなくなった場合は、空箱チップを1枚その物陰に置いて下さい。(空箱チップがなくなった場合は、何も置かなくてOKです。)
*入手しているチップを「アイテムを捨てます」と宣言して、空箱チップの代わりに裏向きで置くことも可能です。
③「アイテムを使う」
アイテムの利用を宣言し、所持しているチップを表にします。
アイテムには使い捨てのアイテムもあれば、何度でも使用できるアイテムもあります。(最初に選んだ訪問者アイテムカードなど)
訪問者プレイヤーの勝利条件
訪問者プレイヤーの勝利条件は、以下の3つの内のどれかを達成することです。各条件ごとに解説しますね。
①「脱出」
②「討伐」
③「供養」
①「脱出」
- 物陰からできるだけ多くの鍵番号チップを探し、ダイヤルの番号を予想する。(ダイヤル番号は1〜6の内3つ。鍵番号チップは使用されていない番号が手に入ります。)
- 書斎机の下の物陰にある「ダイヤル式金庫」チップを覗き、ダイヤル番号(数字3つ、順不同)を宣言。「鍵束」チップを入手する。
- 「秘密の脱出口」チップを探し出し、「鍵束」チップを所持して覗く。
以上の流れを達成できれば脱出成功!訪問者プレイヤーたちの勝利です。
②「討伐」
- 物陰からできるだけ討伐情報チップを集め、ハコオンナに無効なアイテムを把握する。
- 討伐アイテム「ガソリン」、「白木の杭」、「錆びた鎖」をいくつか手に入れる。
- ハコオンナが潜んでいると思われる物陰に討伐アイテムを使用する。
- ハコオンナがその物陰に潜んでいて、使用したアイテムがハコオンナカード上の弱点なら討伐成功。弱点でなかったらその訪問者は死亡します。
*指定した物陰にハコオンナがいなかった場合、討伐に使用した討伐アイテムはゲームから除外。
③「供養」
- 「亡骸」チップと「メリーさん人形」を探す。
- 「メリーさん人形」を所持した状態で、「亡骸」を覗き込む。
以上で供養成功!訪問者プレイヤーの勝利となります。
その他訪問者プレイヤーのルール
- 同室内の訪問者にはチップを見せたり交換することができます。
- なにもない物陰に手元のリップを置くことができる。
- 訪問者同士ならいつでも相談してOK
訪問者が死亡した場合
訪問者が死亡したら、ハコオンナに隷属する「箱人」となります。
死亡した訪問者のコマを手元に回収し、殺したハコオンナか箱人がいる物陰に自身のコマと「箱人」チップを裏向きに重ねて配置して下さい。
また、この時死亡した訪問者が手にしてたアイテムは全員に公開した後、ゲームから除外します。箱人の行動に関しては以下の通りです。主にハコオンナアクション時に行動することになります。
- ハコオンナアクション時に、箱人チップを1部屋移動させます。
- その部屋の表向きチップを任意で裏するのと同時に、その部屋の物陰のチップをすべて確認します。
- その中から箱人が潜む物陰を決め、箱人のチップとすり替える。すり替えたチップは手元に持つ。(2回目の移動からは、手元のチップを元の場所に戻してから移動する)
その他箱人の特徴
- 箱人もハコオンナ同様に、訪問者が物陰を覗いて箱人がいたら訪問者を殺せます。
- 箱人とハコオンナな同じ物陰に潜むこともできますが、チップを重ねて置く必要があります。(すぐに訪問者にバレるのでオススメしません)。
- 箱人はハコオンナの能力で死ぬことはありません。
- 箱人はいずれかの討伐アイテムを使用されたら死んでしまい、ゲームから除外されます。
- さらに箱人は訪問者アイテムの「ダウジングロッド」と「ぽっくりさん」のサーチにひっかりません。
- 訪問者アイテムで「このアイテムを使ったら、ハコオンナと同室にいる訪問者は死ぬ」と記載されているアイテムの効果で、箱人は適応されない。
訪問者プレイヤーの敗北条件
勝利条件の3つのどれもが確実に達成できなくなったと判断できたら、その時点でゲームは終了。訪問者プレイヤーの敗北となります。
また、訪問者が全員死亡した場合もその時点でハコオンナ側が勝者です。
ハコオンナプレイヤー
ハコオンナは訪問者の手番中に割り込むことで行動することができます。(代表的なのが物置トークンが崩れた時です)この割り込んだ時のアクションを「ハコオンナの時間」と呼びます。「ハコオンナの時間」は以下のアクションを実行して下さい。
①「哭き叫ぶ」かどうかの決定
②「チカラ」のセットと回収
③チカラの発動
④部屋の移動と潜伏
①「哭き叫ぶ」かどうかの決定
まず哭き叫ぶかどうかを選択します。しない場合は対の手順に進みましょう。哭き叫ぶを選択した場合、ハコオンナチップがある部屋を全員に宣言して下さい。
その後、山札からカードを引きます。引いたカードと同名の手記チップが既に開示されていれば、引いたカードは手札とすることができます。
*山札から赤いカード「ゼツボウノジカン」を引いた場合は、「ゼツボウノジカン」を山札の下に戻し、さらに山札からカードを2枚引いて手札に加えて下さい。
②「チカラ」のセットと回収
ハコオンナプレイヤーが引いたカードはセットしなければ使用できません。まずは手札から1枚を選び、ハコオンナカードの左右のどちらかにカードを裏向きでセットします。
つまり、カードは2枚までセットすることが可能です。
既にセットされているカードを回収することもできます。しかし、セットしたターンに同時に回収することなどはできませんし、回収した直後にセットすることもできません。
また、セットも回収もしたくない場合は次に進んで下さい。
③チカラの発動
この手順の前に、まずは訪問者プレイヤーに目を閉じるように呼びかけて下さい。訪問者全員が目を閉じたらこの手順を開始します。
ハコオンナカードの左右にセットされているカードのいずれかの能力を使用します。使用する能力のカードを表にし、そのカード効果を処理して下さい。チカラはセットしてあれば、2枚同時に使用することも可能です。
効果の処理が終了したら、使用したカードは自分の手札に戻しましょう。
④部屋の移動と潜伏
ハコオンナを移動させるアクションです。
まず、ハコオンナチップを手元に回収します。そしてハコオンナカードの「居所」に置いてあるチップを、さっきまで自分が潜んでいた場所に戻してください。次に隣接している部屋に移動します。
移動したら移動した部屋にある物陰のチップを一通り確認します。この時表向きになっているチップがあれば任意で裏に戻すことも可能です。その後、ハコオンナを潜ませる場所のチップを「居所」にして、ハコオンナのチップを選んだ物陰に裏向きでセットして下さい。
以上が終了したら、訪問者プレイヤーに目を開けて下さいと伝えましょう。
以上がハコオンナの行動アクションです。
ハコオンナの勝利条件は訪問者プレイヤーの勝利条件をすべて実行不可能な状態にするか、訪問者を全員殺すことができれば勝ちとなります。
感想:斬新なルールとデザインが面白い!
「ハコオンナ」はサバイバルホラーをテーマにしたボードゲームですが、このようなジャンルは今までのボードゲームにはあまり見られないジャンルでした。
どのようなゲーム内容なのかとても気になりましたが、遊んでみるとしっかりと作り込まれていて斬新なルールだと思いました。
いわゆる探索ゲームなのですが、ハコオンナに当たってしまったら死ぬという緊張感があって、遊んでてドキドキします。また、勝利条件が多いのが面白いです。ハコオンナ自体も倒すのもよし、逃げ切るのもよしなので毎回違った展開が期待できます。ハコオンナの能力も色々なるのも楽しいです。
ただ、ハコオンナ側が基本的には有利なので、そこはうまくさじ加減がないと一方的になってしまうかもしれないところが、玉に瑕かな〜と思うところはありました。
しかしそんな短所を抜きにしても、新鮮なゲーム内容は多くの人が楽しめるものだと思います。他のボードゲームでは中々味わえないでしょう。
あと、個人的にはデザインが本当にホラーっぽいところが好きです!
まとめ
「ハコオンナ」はルールやデザインが斬新なボードゲームでした。
他のゲームでは味わえないようなワクワク感と緊張感が楽しめます。
なかなかボードゲームでみないゲームジャンルですので、気になった方はぜひ手にとって遊んでみて下さい。