(画像引用元:https://en.wikipedia.org/wiki/Friedemann_Friese)
ボードゲームデザイナーと言えば、「バトルライン」を手掛けたライナー・クニツィアなどが有名であり、耳にしたことがある方も少なくないかと思います。
クニツィアがボードゲームの王道デザイナー的存在と言うなら、フリードマン・フリーゼは、少しマニアックな立ち位置にいるデザイナーと言ったところになるでしょう。
今回ご紹介するフリードマン・フリーゼのゲームは癖が他のゲームよりも強く、初めての方にはとっつきにくいところがあります。
しかし、その独特なゲームデザインとシステムに虜になってしまうプレイヤーは多いです。ボードゲームファンなら、一度は彼のデザインしたボードゲームに触れてみることをオススメします。
フリードマン・フリーゼについて
フリードマン・フリーゼはドイツ出身のボードゲームデザイナーです。1970年に誕生しました。ちなみに現在はブレーメンで働いているようです。
フリードマンは「2F-Spiele」という彼の会社で、自分の手がけたボードゲームをプロデュースして、制作したゲームを発表しています。
彼の風貌はとても印象的で、緑のヘアースタイルが個性的です。しかも、その緑のカラーは彼のゲームのデザインにも反映されています。
フリードマン・フリーゼの特徴
フリードマン・フリーゼのゲームの特徴としてまず挙げられるのが、ゲームデザインのカラーについてです。ほぼ全てのゲームが緑色のコンポーネントで構成されています。
これは、フリードマンが緑色を好んでいるからと言われていますが、彼の髪の色も含めて、ここまで徹底しているのは、ある意味すごく職人的な情熱を感じますね。そのせいか、ボードゲーム界隈では「緑の人」なんて呼ばれることもあります。
そしてカラーだけでなく、ゲームのタイトルにもこだわりがあります。フリードマン・フリーゼのボードゲームのタイトルでは、タイトルの頭文字をほぼ全て「F」で始めているのです。
日本語版ですと、「F」が頭文字になっていないものや不明なものがありますが、ドイツ語では「F」となっています。
以上のことから、他のゲームデザイナーには見られない独特の特徴がフリードマン・フリーゼのゲームにはあることがわかりますよね。しかし、本当に注目すべき点は、フリードマンのゲーム性にあります。
フリードマン・フリーゼのゲーム性
フリードマン・フリーゼのゲームは、何と言ってもその複雑性と斬新さにあります。
様々な要素を組み合わせたものや、他のゲームにはない独特のゲームシステムが彼のゲームには存在するのです。
とても実験的なゲームもあれば、革新的なゲーム性を孕んだようなものあり、キテレツなものから天才性を思わされたゲームなど、そのどれもが斬新さを感じさせられます。
そんな複雑性と斬新さが入り混じったようなゲーム性は、多くのボードゲームファンを虜にしています。最初はとっつきにくさを感じる方も多くはいますが、一度ハマったらそのゲーム性に魅了されてしまうことは少なくないでしょう。実際にフリードマン・フリーゼのゲーム性とデザインのファンであるプレイヤーは世界中で多くいます。
以上のことから、個人的にはフリードマン・フリーゼのゲームは、ボードゲームファンなら一度は手にして頂きたいのです。
次にどんなゲームを開発してくれるのか。そんな期待に応えてくれる、鬼才ゲームデザイナー、フリードマン・フリーゼが手がけた代表的なゲームをこれからご紹介します。
フリードマン・フリーゼの代表的ボードゲーム
大型ボードゲーム
①「電力会社」
プレイ人数:2人〜6人
プレイ時間:約120分
フリードマン・フリーゼのボードゲームの中でも代表的なボードゲームです。限られた資源を有効活用して、電力網を他のプレイヤーより広げていき、資金を集めて、送電できる都市を増やしていきます。
フリードマン・フリーゼのゲームらしくゲームのルールに複雑さがありますが、実際に遊んでみると、その計算されたゲームシステムにとにかく驚くでしょう。まず、資金繰りが非常にシビアです。効率よく電力網を広げていき、再投資して、送電できるエリアを拡大していくのは、実によくできた経営ゲームだと感じられます。
エリアを拡大していく際、他のプレイヤーとのエリアの奪い合いのようなものもあるので、陣地取り的な要素もなくはありません。
とにかく、どの選択も非常に悩ましくてゲーム中は悩みっぱなしになること間違いないでしょう。フリードマンが仕掛けたジレンマを十分に堪能できるはずです。
ゲーム自体も非常にボリュームがあるので、フリードマン・フリーゼの濃厚なゲーム体験をしたい方は、ぜひ手にとって遊んでみて下さい。
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https://anboard-games.com/games/post-1818/
②ファウナ
プレイ人数:2人〜6人
プレイ時間:45分〜60分
フリードマン・フリーゼが手がけた子供から大人まで楽しめるファミリー向けのクイズボードゲームです。
ゲーム内容は360種類もある動物のカードを選び、尻尾の長さなどをのデータを予測していく感じのゲームとなっています。
動物の種類は大人でも知らないような動物がたくさん登場します。そのため、大人と子供も関係なく遊ぶことができるでしょう。
実際に遊んでみると、最初は当てずっぽうになってしまうことがほとんどですが、何回か遊ぶと徐々に動物の知識が増えていき、正答率があがっていきます。ちょっとずつ動物について覚えていくことは、勉強にもなるし何よりも自分がレベルアップしているようでとても楽しいです。
フリードマン・フリーゼは複雑でクセのある尖ったようなゲームだけでなく、このようなファミリー向けのクイズゲームもあります。フリードマンのゲームの幅広さを感じられますね。
中型ボードゲーム
①「フルーツジュース」
プレイ人数:2人〜5人
プレイ時間:約25分
ボードゲームのジャンル的には、「アグリコラ」のようなワーカープレイスメントゲームに近い感覚です。通常のワーカープレイスメントゲームとは一味違う、フリードマン・フリーゼが工夫を凝らしたようなゲーム内容となっています。
このゲームの特徴的なところは何と言っても、「ファストフォワードシステム」というゲームシステムです。これは何かといいますと、プレイするにつれて、新規のカードが追加されていき、ルールが変わっていきます。さらに、切りの良いところで、勝敗も決することも可能です。
以上のゲームシステムにより、常に新鮮な気持ちで新しいゲーム体験ができ、さらにはプレイヤーの都合でプレイ時間もある程度変更できるというゲームシステムになっています。ゲームを長く遊びたい方も、切りよく30分くらいで終わらせたい方どちらでもゲームを楽しむことが可能です。
他のボードゲームにはないゲームシステムであり、フリードマン・フリーゼが生み出した代表的なゲームシステムと言っても過言ではありません。ぜひ、その珍しいゲーム体験を「フルーツジュース」で体験してみて下さい。
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②「サンドキャッスル」
プレイ人数:1人〜4人
プレイ時間:約30分
上記の「フルーツジュース」と同じ「ファストフォワードシステム」を採用しているボードゲームです。しかし、ゲームジャンルはワーカープレイスメントゲームではなく、より変わったものとなっています。
「サンドキャッスル」はデッキ構築系の反対の「デッキ解体系」ゲームです。厳密には「デッキ解体系」ゲームというジャンルはないと思いますが、初めからあるデッキを少なくしていく「サンドキャッスル」は、まさに「デッキ解体」と言っても差し支えないでしょう。
「フルーツジュース」と同じように、「サンドキャッスル」も遊べば遊ぶほどゲーム内容が変化していき、切りのいいところで終了させることも可能なゲームシステムとなっています。
ひたすら自分のデッキの枚数を減らしてくことが目的なので、他のプレイヤーとはあまり駆け引きなどがありません。所謂「箱庭ゲー」と呼ばれるゲームに近いです。
黙々と自分で考えながら手を動かしていくようなボードゲームですので、好き嫌いが別れるかもしれないボードゲームだと個人的には思います。
黙々とプレイしていくゲームが好きな方で、フリードマン・フリーゼのゲームを堪能したいという方にはもってこいのボードゲームです。
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小型ボードゲーム
①「ロビンソン漂流記」
プレイ人数:1人
プレイ時間:25分
珍しい1人用ぼボードゲームですが、この「ロビンソン漂流記」は1人用ボードゲームの中でも最高傑作とも言えるほどの完成度を誇っていると個人的には思います。
ゲーム内容的には「ドミニオン」のようなデッキ構築系のゲームです。プレイヤーは限られた体力の中で、無人島に漂流した無知なロビンソンにサバイバル技術を仕込んでいき、最終的にロビンソンを島から脱出させることが目的となります。
このゲームの何が魅力的かというと、ずばり絶妙なゲームバランスにあります。最初にプレイした時は、「全然クリアできそうにない!」と思いましたが、何回か遊んでいる内にコツがわかってくるでしょう。そして、ゲームをギリギリでクリアする快感を得ることができます。
フリードマン・フリーゼらしさもさることながら、とても完成度の高く絶妙なゲームバランスを誇る「ロビンソン漂流記」は、1人用とはいえ夢中になること間違いなしです。
値段をお手頃なので、フリードマン・フリーゼのゲームを体験したいという方は、オススメのボードゲームだと思います。
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②「5本のきゅうり」
プレイ人数:2人〜6人
プレイ時間:約25分
所謂トリックテイキングゲームと呼ばれてるカードゲームです。こちらもフリードマン・フリーゼが手がけたボードゲームとなります。
こちらのゲームもフリードマン・フリーゼの変わった一面が表れていて、「勝った方がゲームに負けていく」という不思議なゲームとなっています。
ちなみに、フリードマン・フリーゼのボードゲームの中で、「5本のきゅうり」は手軽に遊ぶことができ、ルールも簡単な部類に入ると思います。非常に気軽に遊べるゲームでしょう。
感覚的には「ハゲタカのえじき」と似たような感じがあります。ですが、当然ながら適当にカードを出しているだけでは確実に負けてしまうでしょう。実際に遊んでみると、その考えられたジレンマを体験できると思います。
「ハゲタカのえじき」とは、またちょっと違う感覚を味わえるボードゲームなので、ぜひ手にとって遊んでみて下さい。
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③「フォッペン!」
プレイ人数:4人〜8人
プレイ時間:約15分
こちら「5本のきゅうり」と同じジャンルである、フリードマン・フリーゼのトリックテイキングゲームに位置するボードゲームになります。
「5本のきゅうり」よりも、より手軽に遊べるようなトリックテイキング系ゲームです。そのせいか、運の要素が若干強いといった感じとなっています。
ゲームの目的は、配られた手札を一番最初に全て消費することです。小さな勝負を何度もしていき、カードを消費していくようなスタンダードのトリックテイキングゲームといったものになります。
余談ですが、「フォッペン」は「おバカ」という意味です。ゲームタイトルから感じられるように、非常にラフに遊べるボードゲームになります。フリードマン・フリーゼのボードゲームは複雑なルールであるゲームが多いですが、「フォッペン」のように気楽に遊べるボードゲームもあります。
まずは「フォッペン」のような軽いゲームからフリードマン・フリーゼを体験してみるのも良いと思います。
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まとめ
如何でしたでしょうか。
フリードマン・フリーゼのボードゲームは、最初はとっつきにくいと感じるかもしれません。
しかし、彼の生み出した斬新なゲームシステムと素敵なゲームデザインは他のデザイナーとは、一線を画していることは間違いありません。ボードゲームを長く遊んでいるプレイヤーの方には、一度は触れておくことは必須といえる程のデザイナーでしょう。
ぜひ、一度フリードマン・フリーゼのボードゲームを手にとって、遊んでみて下さい。