プレイヤーのあなたは古代インカの神殿を探検する冒険者。目指すは珍しいトルコ石や、黒曜石、そして黄金です。
遺跡の中は、巨大な蜘蛛や罠などで危険がいっぱいです。遺跡を探検するプレイヤーは、勇気を出して危険な神殿の奥に進むのか、そこそこの戦利品を抱えて安全な出口に戻るのかを判断しなければなりません。
果たしてあなたはどれだけの財宝を手に入れて無事に戻ってくることができるのでしょうかー。
基本情報
プレイ人数:3人〜8人
プレイ時間:約20分〜40分
対象年齢:8歳以上
ゲームデザイナー:アラン・R・ムーン
「インカの黄金」はどんなゲーム?
「インカの黄金」は「ダイアモンド」というゲームをリメイクした作品となります。
このゲームは、プレイヤーは毎回危険な神殿の奥に進むか戻るかを選択していき、洞窟内の宝を探すことを目的としたゲームです。
うまくいけば宝を一人占めすることもできるかもしれませんが、何も得られないということもあります。神殿から早く戻れば安全ですが、得られる宝も少ない。反対に神殿の奥深くに進めばたくさんの宝を得られるかもしれません。
ゲームの遊び方
ゲームの準備
- 各プレイヤーは探検家コマと自分用のテントを1つずつ受け取ります。自分用のテントは自分の手元に立てておきましょう。
- 中央に神殿カードを下画像のように並べます。
- 5枚の遺跡カードを神殿カードの下に裏向きで差し込みます。遺跡カードにも数字が書いてあるので、神殿カードの数字が小さい順番と同じように、遺跡カードも神殿の小さい順に差し込みましょう。つまり、神殿カード「1」には遺跡カード「5」を差し込み、神殿カード「2」には、遺跡カード「7」を差し込むという具合です。
- 得点となる宝石をまとめて脇においておきいます。
- じゃんけんなどの適当な方法で、ゲームの進行役を決めます。
ゲームの流れ
ゲームは5ラウンドで行われるので、5ラウンドで1ゲームと認識してください。ここでは、各ラウンドの流れを解説します。
ラウンドの手順
①ラウンドの準備
まずは、ラウンドの準備を行う必要がります。ゲーム進行役となっているプレイヤーは、神殿カードのうち、最も数字が小さいカードとその下にある遺跡カードを全員に公開しましょう。
その後、探検カード全ての中に、公開した遺跡カードを加えてシャッフルします。これが今回のラウンドで使用する山札となるのです。
②プレイヤーの決断
各プレイヤーは毎回、探検を続行するかしないかを、全てのプレイヤーは選択しなければなりません。選択の仕方は以下の通りになります。
・探検せずに安全地帯のキャンプに戻る
自分の探検家コマを周りのプレイヤーにばれないように手で握り、拳を前に突き出します。
・探検を続行する
手に自分の探検コマを握った「ふり」をして、拳を前に突き出します。
以上の行動が終了したら、一斉公開になります。
全てのプレイヤーは、「いっせーのせ!」の掛け声で握った拳を一斉に開きます。探検をやめるプレイヤーはコマを落とし、探検を続けるプレイヤーは拳を開いた状態だけになります。
③キャンプに戻るプレイヤーと探検を続けるプレイヤー
キャンプに戻るプレイヤーと探検を続けるプレイヤーは別の行動を起こす必要があります。別々に解説していきますね。
A.探検を続けるプレイヤー
探検を続けるプレイヤーがいた場合、それらのプレイヤーは以下のことを実行します。
ゲームの進行役は、山札の上からカードを1枚引き、神殿の脇に置きます。すでにめくられたカードがある場合は、そのめくられたカードの隣に引いたカードを置きましょう。このようにして並べられたカードは「通路」と呼びます。
・お宝カードがめくられた場合
お宝カードがめくられた場合は、神殿の中にあったお宝を発見したことになります。カードに描かれた数字分の宝石をプレイヤー間で均等に分けましょう。
宝石の分け方は絶対に均等でなければなりません。どうしても余ってしまう宝石がありますが、余った宝石はそのお宝カードの上に置いておきましょう。
例:プレイヤー4人で9個の宝石がめくられた場合、宝石は2個ずつ分けられ、1個が余ります。余った1個の宝石はめくられたお宝カードの上に置きます。
手に入れた宝石は自分のテントの脇に置いておきましょう。この段階では宝石をテントの中にいれていはいけません。
・遺跡カードがめくられた場合
遺跡カードはゲームの終了時にボーナス点となります。遺跡カードがめくられた場合は、通常通りに通路に並べておきましょう。しかし、遺跡カードを受け取れるのは、この遺跡カードを拾ってキャンプに無事に戻ったプレイヤーのみです。詳しい解説は後で説明します。
・障害カードがめくられた場合
障害カードがめくられた場合は、以下のうちのどれかを行わなければなりません。
①引いた障害カードと同じ絵が、まだ通路になかった場合
この場合は、まだ何も起こることはありません。しかし、探検をする危険度が高まります。
*もし、引いたカードが障害カードで通路の最初の1枚だった場合は、ただちに山札から1枚めくって判定し直すことが可能です。(最初の場合は、キャンプに戻る意味がないため)
②引いた障害カードと同じ絵が、通路にあった場合
引いた障害カードと同じ絵が、すでに通路に並べられているカードにあった場合、探検をしているプレイヤーは全ての宝石を宝石置き場に返却しなければなりません。そして、そのラウンドは強制的に終了となります。
このケースでラウンドが終了した場合は、その時めくられた2枚目の障害カードがゲームから取り除きましょう。そのラウンドにめくった神殿カードの下に少しだけ重ねて差し込むのが良いです。これで、ゲーム中に取り除かれた障害カードを確認できます。
この時点でラウンドが終了してない場合は、再び自分の探検家コマを掴んで、再度探検を続けるかやめるかを選択して、次のカードをめくります。
B.キャンプに戻るプレイヤー
探検をやめる選択をしたプレイヤーはキャンプに戻らなくてはなりません。探検をやめてキャンプに戻ったプレイヤーのやることは以下の通りです。
- 通路に置かれている宝石を全て取り、キャンプに戻るプレイヤー間で均等に分けることができます。分けきれなかった場合は、余った宝石を通路の宝石カードの上に置いておきましょう。
- キャンプに戻ったプレイヤーは、そのラウンド中に受け取った宝石を自分のキャンプの中にいれることができます。こうして宝石は安全となり、失われることはありません。
- 1人だけがキャンプに戻った場合、もし通路に遺跡カードがあったらその遺跡を全て1人で受け取ることができます。2人以上でキャンプに戻った場合は、遺跡カードは誰も受け取ることはできません。受け取ることのできた遺跡カードはキャンプの脇に置いておきましょう。ちなみに遺跡カードは宝石と違い、キャンプの中にいれなくても失われることはありません。
- キャンプに戻ったプレイヤーは、このラウンドが終了するまで自分の探検家コマを自分の手元に置いておきます。これでこのラウンド中は何もすることができません。
ラウンドの終了
ラウンドの終了は、全プレイヤーがキャンプに戻った場合か、同じ絵の障害カードが2枚めくられた時の2通りしかパターンがありません。いずれかの場合でラウンドが終了したら、次のラウンドの準備に取り掛かりましょう。次のラウンドに取り掛かる準備で気をつける点は以下の通りです。
- もし通路に遺跡カードが残っていた場合は、その遺跡カードは取り除きます。この遺跡カードは誰も手に入れることはできません。
- 通路に残っていた宝石と、プレイヤーのテントの脇に残っていた宝石をすべて宝石置き場に戻します。
- ゲーム進行役のプレイヤーは、山札や通路に残っていた探検カードを全て受け取ります。
ゲームの終了
5ラウンド終了したらゲームは終了です。自分のキャンプの中にある宝石や、手に入れた遺跡カードの合計点を計算します。
各宝石と遺跡カードの点数の内訳は以下の通りです。
- 緑の宝石→1点
- 黒の宝石→5点
- 黄色の宝石→10点
- 遺跡カード→そのカードに描かれた数字の数
その合計点が最も多かったプレイヤーが勝者となります。もし、同列で点数が並んでいた場合は、遺跡カードを多く持っていたプレイヤーが勝者です。
感想:戻るか進むか、選択肢は悩ましいがうまくいった時の爽快感がたまらない!
「インカの黄金」は所謂チキンゲームであり、選択肢も「進む」か「戻る」の2通りしかありません。しかし、実際に遊んでみると単純なチキンゲームではないことがわかるはずです。
まず面白いと感じたところは、獲得した宝石をプレイヤー間で均等に分けること。
この均等のルールは中々他のゲームでなない種類のルールです。自分がたくさんの宝石カードを引き当てなくても、均等に入ってくるので、不公平感がありません。誰もが平等にチャンスがあります。そのため、子供でも楽しく遊べることができるはずです。
そして、はやり最も面白いところがプレイヤー同士の駆け引き。
ルール上どうしてもどこかで戻らないと得点に結びつくことはありません。よって、どのタイミングで戻るを選択するかが非常に重要となってきます。勇ましく神殿の奥に進んで高得点を目指すのも良いですが、全てを失う可能性も少なくありません。選択はとても悩ましいですが、自分一人だけうまくいった時の爽快感は病みつきになるほどです。
少ないながらも小さく稼いでいくプレイヤーもいますが、そこは本当に人によりけり。「インカの黄金」はかなり個人の性格が表れるゲームだと思います。
他にも稼いだ額が非公開という点も面白いですね。常に気が抜けずゲームに集中せざるを得ないです。蓋を開けたら全然稼いでなかったり、思ってた以上に稼いでたりしているのも意外性があって面白いと思います。
「インカの黄金」はチキンゲームですが、上記のような病みつきになり、ゲームを盛り上げる小さな工夫がたくさん施されています。デザインも良くて、ついつい手にとってしまうようなゲームです。
まとめ
「インカの黄金」はシンプルなルールながら、プレイヤー同士の駆け引きが白熱するボードゲームでした。デザインも良いのもポイントですね。
うまくいった時の爽快感がたまらないですが、ついつい強気で攻めてしまい手ぶらで戻ってきてしまうのもまた面白いです。
ルールが簡単なので家族間でも友達同士でも十分に楽しめるボードゲームだと思います。