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電力会社を経営する名作ボードゲーム「電力会社 充電完了!」レビュー

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このゲームでは、あなたは電力会社の経営者となります。経営者であるあなたの目的は、他社の電力会社よりも送電網を広げ、都市に電力を供給することです。

送電網を広げていくには、発電所が必要になります。プレイヤーは限られた資金で発電所をオークションで購入したり、使える資源を活用して、他のプレイヤーより先に送電網を広げていくのです。電力をより多くの人達に供給できるようにしていきましょう。

基本情報

プレイ人数:2人〜6人

プレイ時間:約120分

対象年齢:12歳以上

ゲームデザイナー:フリードマン・フリーゼ

「電力会社」はどんなゲーム?

「電力会社」は2004年に発売された大型ボードゲームです。今回ご紹介するのは、改良が加えられた「電力会社 充電完了!」の新版になります。旧版と違って、ルールに改良が加えられ、2人でも遊べる内容となりました。

ルールが複雑ですが、オークション要素や陣取り要素、拡大生産性を含めた経営ボードゲームであるところが、魅力的なところと言って良いでしょう。

ボードゲームで人気のあるゲーム要素が多く含まれた大型ボードゲームなので、非常に密度が濃いゲームです。

ゲームの遊び方

ゲームの準備

  • ドイツかアメリカどちらかのゲームボードを選択して下さい。
  • 各プレイヤーは、ゲーム参加人数に応じた使用するエリアを選択。エリアは予めゲーム盤で色分けされています。この時、使用するエリアは全てひとつながりになるようにして下さい。
  • 各プレイヤーは各担当の色を1つ決め、その色の都市コマ全てと収入一覧カード1枚、そして紙幣50エレクトロを手持ちとして準備します。
  • 各プレイヤは手持ちの都市コマの1個を、ゲーム盤の都市接続表の家のマークの上に置きます。
  • 各プレイヤーは手持ちの都市コマを、ゲーム盤にあるプレイ順番表の上段のマスに、ランダムに左から右に並べていきます。これがゲーム開始時の手番順です。
  • ゲーム盤下にある資源市場表に対応する規定の数のトークンを配置します。残ったトークンはひとまとめにしてゲーム盤の脇にまとめておいて下さい。
  • 紙幣をまとめてゲーム盤の脇に置いておきます。オークションハンマーと割引マーカーも近くに一緒に置いて下さい。
  • ゲームの参加人数とゲームボードに対応している資源補充カードを、ゲーム盤の資源補充カード置き場に配置します。
  • 発電所カードでプラグが描かれているカードをまとめてシャッフルします。その山札から8枚を公開し、ゲーム盤の脇に番号の小さい順に並べて下さい。並べ方は番号の小さな4枚を上の段にし、番号の大きな4枚は下段に並べましょう。これらを「発電所市場」と呼びます。
  • プラグが描かれているカードをもう1枚引き、裏のまま発電所市場の脇に置きます。
  • 発電所カードから「第3ステージ」カードを抜いて置きます。それ意外のプラグが描かれていないカードをまとめてシャッフルして下さい。そこからゲーム参加人数に対応した枚数のカードをゲームから除外します。
  • その後、公開されてある発電所市場以外の発電所カードをまとめてシャッフル。この時に第3ステージカードは山札の一番下にいれ、脇に1枚置いといたプラグのカードを裏向きのまま山札の上に乗せます。これで発電所カードの山札の完成です。

以上でゲームの準備は終了となります。最終的には上の画像のような状態になるので、参考にしてみて下さい。

ゲームの進め方

ゲームはラウンドと呼ばれる手順を繰り返します。各ラウンドは5つのフェイズで構成されており、決められた順番でゲームを進めて下さい。各フェイズは以下の通りになります。

  1. 順番決定
  2. 発電所オークション
  3. 資源購入
  4. 建設
  5. 管理

さらにゲームの進行段階は3つのステージに分けられます。ステージに関しては後で解説しますので、ここでは気にせず読み進めていって下さい。

1.順番決定

ここではプレイヤーの手番順が決まります。この時点で最も多くの都市を自分の電力網に接続しているプレイヤーが1番です。同数ならもっとの番号の大きな発電所を所持しているプレイヤーが1番となります。

そしてゲーム盤のプレイ順番表で、新たな第1プレイヤーの都市コマを「1」のマスに動かしてください。ちなみに1番最初の手番はじゃんけんなどで決めて構いません。

2.発電所オークション

このフェイズでは発電所カードを1枚手に入れられるチャンスとなります。

まずは発電所市場で最も番号の小さいカードに割引マーカーを載せて下さい。そして、第1プレイヤーから順番に、競売人になるかならないかを決めます。

競売人になった場合

競売人になったプレイヤーは、発電所市場の上の段から1枚を選んでオークションにかけます。オークションに出すカードにオークションハンマーを載せて下さい。

その後は選んだ発電所に競売人が値段をつけましょう。これを入札と言います。入札には最低金額があり、最低金額はその発電所カードの番号と同額のエレクトロです。無論、それ以上の値段で入札しても構いません。

それから時計回りの順番に「よろ高値で入札するか」、「パスするか」をプレイヤーは判断します。最終的に1人以外がパスするまで続けて下さい。最後に一番高値で落札したプレイヤーが、その発電所を購入したことになり、入札した金額を銀行に支払って下さい。そうすると、その発電所を手に入れることができます。

購入し終えたら、プレイ順番表にある自分の都市コマを同じ番号の下段のマスに移動させて下さい。また、発電所カードを発電所市場に補充しましょう。この際、発電所カードは番号順に並べ、上の段と下の段に分けるようにして下さい。

ちなみに割引マーカーが置かれた発電所は、番号に関わらず、最低入札額が「1」になります。

競売人にならない場合

このラウンドで競売人にならないを選んだプレイヤーは、このラウンドのオークションには一切参加できません。そのため、プレイ順番表にあるコマを下段の同じ数字のマスに移動させておいて下さい。これがオークションに参加できない目印となります。このフェイズが終了したら、上段に全て都市コマを戻しましょう。これは他のフェイズでも最後に行います。

*ちなみに発電所は手元に3つまでしか持てません。4つ以上になったら、4つ目に手に入れた発電所以外の手元の発電所を1枚除外して下さい。上にある資源は他の発電所に移動させて構いません。それも無理ならトークン置き場に戻しましょう。

3.資源購入

このフェイズでは発電所の稼働のために必要な資源を購入しましょう。

ちなみにこのフェイズでは「1.順番決定」で決められた順番の逆の順でゲームが進行します。手番プレイヤーは、自分が所有している発電所で消費できる資源だけを購入可能です。余分な資源は購入することができません。

手番プレイヤーは、資源市場表から望むだけ資源トークンを購入します。資源市場表の各マスの右上の数字が、そのマスに配置されている資源1個あたりの価格です。特定の資源トークンが資源市場表からなくなった場合は、そのラウンドでは誰もその資源を購入することができません。

*発電所を稼動させるには

発電所を稼動させるには、発電所カードの下部を参考にして下さい。そこには発電所を稼動させるために必要な資源の種類と量が記載されています。

ここで指定された種類の資源をぴったりの数で消費しなければ発電所は稼働させることができません。各発電所のカード上には、1回稼働させるのに必要な量の2倍まで置くことが可能です。

以上のルールを守っていれば、いつでも自分の発電所間で資源の移動をすることができます。

4.建設

このフェイズでは、ゲーム盤の都市マスを自分の電力網に接続することが可能です。このフェイズでも資源購入と同じように、逆の順番で手番が回ります。

ゲーム開始時は誰も都市コマを配置していない状態なので、今回のゲームで自分が利用しているエリア内にあり、まだ誰も都市コマを設置していない都市マスを1つ選びます。都市マスは、3つある配置スペースの内、常に最も小さい数字のスペースに設置して下さい。この数字は都市コマの配置コストを表しています。そのため、設置後はその数字分のエレクトロを銀行に支払って下さい。

2個目以降の都市コマを設置する場合

2個目以降の都市コマを設置する場合、都市コマ設置コストに加え、送電網の接続コストも必要です。接続コストは、ゲーム盤の都市マスを繋ぐ配管のような絵に記載されています。

つまり、2個目以降の都市コマを設置する場合は、都市の建設コストと送電網のコストを合計した金額を銀行に支払うことになるのです。(接続コストが記載されておらず、接続コストが不要の箇所もあります)

建設フェイズではコストを支払える分なら、好きなだけ都市コマを設置することができます。1つの建設を終了させたら、ただちに都市接続表にある自分の都市コマを、1つ数字の大きなマスへと進めて下さい。

注意点

  1. 都市コマは自分のエリア内だったら、どこにでも設置することができます。しかし、電力網で繋がっていなければなりません。
  2. ゲーム開始時に選択されなかったエリアは、そのゲーム中一切使用することはできません。
  3. すでに自分が設置している都市コマに、2個目以降の都市コマを設置することも不可能です。これはゲームのステージごとに異なってきます。
  4. ゲームで使用するエリア内の都市マスなら、スペースが空いている限り自分の電力網に接続できます。その途中、自分が都市コマを設置していない都市マスや、配置していない都市マスや、スペースがない都市でも経由して問題ありません。ただし建設コストは払いますが、ステージによっては都市コマを配置できません。
  5. 最初に設置した都市コマからの電力網の他に、新たな場所を起点とする電力網は設置できません。

5.管理

このフェイズでは、都市に送電して収入や資源を補充することができます。以下の通りに進めてください。

①発電による収入

最初のプレイヤーから順番に、各プレイヤーは所有する発電所カードを望むだけ稼働させます。稼働させないカードがあっても問題ありません。その発電所から送電できた都市マスを数えて下さい。送電できる都市マスの数は、発電所カードの下部の家のマークの中の数字に記載されています。

送電した場合は、送電できた都市の数に応じ、収入一覧カードで記載されている分の収入を受け取ります。そして、発電所を稼動するために必要な資源を、発電所カードの上から資源置き場に戻してください。

どの都市にも送電できないプレイヤーは、銀行から10エレクトロ受け取ることができます。また、もし発電所が送電できる都市の数が実際の都市コマよりも多かった分は超過分となり、その分もプレイヤーはコストを支払わなくてはありません。つまり。おつりや節約はないと思ってください。

②資源の補充

補充する資源の数と種類は、ゲームの参加人数やステージによって異なります。資源補充カードを参照に従って、価格の高いものから順に1個ずつ埋めていくように配置しましょう。

トークン置き場に特定のトークンがなくなってしまった場合は、それ以上補充することはできません。

③発電所市場の更新

第1、第2ステージでは、発電所市場の下の段にあるカードの中から、最も番号の大きいカードを1枚取り、伏せて山札の一番下にいれます。

次に補充用のカードを1枚引き、通常のルールで並び替えます。つまり第3ステージカードの下に高い数字のカードが溜まっていくのです。

第3ステージでは、この手順は実行しません。代わりに発電所市場の中から最も番号の小さいカードを除外します。補充は行って下さい。ちなみに発電所カードの山札が切れたら、それ以上は補充できません。

各ステージについて

ここでは各ステージにおける特殊な場合について簡単に解説しますね。第2ステージは、管理デイズの開始時に、誰かが特定の都市数を自分の電力網に接続した時に以降します。第3ステージは、発電所の山札から第3ステージカードが引かれたら以降です。

・第1ステージ

各都市マスには1人のプレイヤーしか都市コマを設置できません。建設コストは必ず一番低いものにして下さい。

・第2ステージ

第2ステージに移行する時、発電所市場にある最も番号の小さい発電所を1枚除外して、補充として山札から1枚を発電所市場に加えてください。

第2ステージからは、都市マスに2個までの都市コマを設置できます。建設コストは、設置したプレイヤーから小さい順に支払っていって下さい。

・第3ステージ

・オークションフェイズの時

発電所のオークション時に、補充されたカードが第3ステージだった場合、そのフェイズの間は、引いた第3ステージのカードを最も番号が大きいカードとみなし、発電所市場の下段の一番右に並べます。

そしたら、残っている山札をまとめてシャッフルし、新たな山札としましょう。その後オークションフェイズを実行します。そしてオークションフェイズが終了したら、発電所市場にある最も番号の小さいカードと、第3ステージカードを除外して下さい。これで第3ステージの以降は完了です。

・管理フェイズの時

管理フェイズの発電所の更新によって、第3ステージが出た場合、市場で最も番号が小さいカードと第3ステージのカードを除外して下さい。そして残っている山札をシャッフルし、新たな山札にします。

第3ステージになると、発電所市場は6枚となり、どれでもオークションに出すことが可能です。また、各都市マスに3人まで都市コマを設置できるようになります。

ゲーム終了と勝利条件

管理フェイズの開始時、いずれかのプレイヤーが特定の数の都市に接続されていたら、その管理フェイズが終了してゲームは終了です。

勝利条件は、最後の管理フェイズの送電時に最も多くの都市に送電したプレイヤーが勝者となります。

そのため、最後の管理フェイズでは送電しても収入はありません。保持する全発電所で、可能な限りの資源を使用し、送電を行います。この時に送電できた都市の数が最も多いプレイヤーが勝者です。お金は勝敗に関係ありません。

感想:非常に良くできたゲームシステム

「電力会社」は2014年に発売されましたが、これが改良されて「充電完了!」が発売されました。内容はがっつりとした経営ゲームで、ボリュームも申し分ありません。

旧版と違うところはドイツ版とアメリカ版があり、マップや資源の補充数が違います。アメリカ版のほうが巨大で、上級者はアメリカ版を遊ぶと良いでしょう。2人用ルールも追加されており、全体的に遊びやすさとがパワーアップしている感じです。

実際に遊んでみると、とてもシビアな判断が求められるゲームとなっています。いかんせん、お金を集めれば良いわけではなく、最終的には送電する都市数によって、ゲームの勝敗は別れます。限られた資金を競合に負けないように、どの都市やエリアに振っていけばいいのかを考えていくことになりました。それに加えて、資源の管理もあるので頭を休ませている暇はありません。運要素はほぼないと言って良いでしょう。

手持ちの資本の管理と、どこに資本を振っていけばいいのか。相手の動きは?などと、本当に経営的のようでよく作り込まれたゲームシステムだと思います。本作で一番魅力な点は、まさにその作り込まれたゲームシステムにあるといっていいでしょう。

しかし、細かなルールが非常に多く、ゲーム中にルールブックを確認しなければならないことが只々あります。慣れるまで中々ゲームをスムーズに展開てきないところが玉に瑕と言ったところでしょうか。

まとめ

「電力会社」は、ルールが細かくて複雑な面があるにしろ、経営的なシステムが良く作り込まれた密度の濃い戦略ゲームでした。限られた資本をどこにどのタイミングで振るのか。選択全てが悩ましい洗練されたボードゲームです。

壮大な戦略ゲームや経営ゲームが好きな方は、一度はプレイするべき名作ボードゲームだと思います。ぜひ一度手にとって遊んでみて下さい。

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