皆さんは大きい動物と言ったらどんな動物を想像しますか?
キリンやゾウなどが想像されるかもしれまんせんね。しかし、それを「100」までの数字で表すとどうでしょう。
キリンだったら「80」くらいでしょうか。人によっては「60」くらいかもしれませんね。
「ito」はそんな価値観の違いを扱った会話が楽しいコミュニケーションゲームです。みんなでワイワイ楽しみながら価値観の違いを楽しんでみてください。もしかしたら、友達や家族の意外な一面がわかるかもしれません。
基本情報
プレイ人数:2人〜10人(クモノイト)・4人〜10人(アカイイト)
プレイ時間:約30分
対象年齢:8歳以上
ゲームデザイナー:326(ナカムラミツル)
「ito」はどんなゲーム?
「ito」は価値観の違いをテーマにしコミュニケーションゲームです。
論理的思考よりも、その人独自の感じ方や価値観といった、その人の個性を楽しむことがご醍醐味となっています。
そして、「ito」には「クモノイト」と「アカイイト」の2種類のルールがあります。どちらもコミュニケーションのゲームですが、「クモノイト」が完全協力ゲームであり、もう一方の「アカイイト」が協力に加え、裏切りがテーマになっています。
どちらも共通のルールとして、数字を言葉で表すことがゲームの肝です。この数字の表現が中々難しく、個人の感覚と周囲の人の感覚のズレが楽しめます。
ゲームの遊び方(クモノイト)
まずはクモノイト(完全協力ゲーム)について解説します。
ゲームの準備(クモノイト)
- 「ナンバーカード」をシャッフルし、裏向きで山札とする。
- 山札からカードを1枚ずつ、各プレイヤーに配布する。
- 「テーマカード」をシャッフルし、裏向きで山札を作る。「テーマカード」の山札は「ナンバーカード」山札の隣に設置。
- 「ライフカード」をライフが3つ描かれている絵を表にして、重ねて置く。
- 箱のフタに「クモノシート」を設置し、カードを出す場を作る。
以上でゲームの準備は終了です。
ゲームの流れ
ゲームの流れは大まかに分けると、以下の通りになります。(このゲームに各プレイヤーの手番はありません。)全員でゲームを手順通り進めていってください。
- テーマの決定
- 手札の宣言
- フリートーク・カードを出す
- ステージクリア
- 次のステージの準備
- ゲームの終了
以上が簡単なゲームの流れとなります。
これから各番号ごとに詳しく解説していきます。
1.テーマの決定
テーマカードを2枚くらい引き、気に入ったテーマを相談して1つを選んでください。
2.手札の宣言
各プレイヤーは決まったテーマに沿って、自分の手札にあるナンバーカードを宣言します。順番はありません。
しかし、ナンバーの数字をそのまま口にすると、直ちにゲームオーバーです。
宣言が終わったら手札を伏せて、全員が宣言し終わるまで待ってください。
数字の表現のルールについて
ナンバーカードは「1〜100」まであります。このゲームでは決まったテーマに沿って、手札の数字を表現しなければなりません。
表現の仕方はとても自由です。いくらでも補足を入れてもOKですし、表現自体を変更しても構いません。同じ人と表現が被ってしまっても大丈夫です。
例えば、「生き物の人気」がテーマであなたが「80」のカードを持っている場合です。
あなたが一番好きな動物は「猫」だったとしたら、「猫」が自分の中で「100」でしょう。ですが、あなたが今持っている数字は「80」です。そのため、「80」くらいに好きな生き物を宣言してください。この場合ですと、「小さくて人懐っこい犬」などが例になります。
表現は自分の好みだったり、相手が自分の数字を想像しやすそうな言葉で表現しましょう。
3.フリートーク・カードを出す
全員が表現を宣言し終わったら、テーマに沿った会話を自由にしてください。ここでも表現は何度でも変えることが可能です。
そして、ここから先は全員でゲームクリアのために協力しなければなりません。全プレイヤーは、小さい数字の順番(1→100)で手札のナンバーカードを箱に出していきます。
カードは会話中でも自由なタイミングで出せます。カードを箱に出す時は、必ず全員に確認をとってから出すようにしましょう。もちろん数字ではなく、先程表現した言葉で確認をとってください。
箱にカードを出したら、そのカードの数字を全員で確認します。もし自分のナンバーカードより大きいカードが出たら、その場でゲームをストップさせてください。
ストップしたら、本来小さい数字順に出せるはずだった数字を表向きにしてください。それらは「本来なら出せるはずだったカード」です。そして、「本来出せるはずだったカード」を全て表向きでテーブルの脇によけます。
この時よけたカードの枚数と同じ数だけ、ライフが減ります。ライフが0になったら、ゲームオーバー。ライフが残っていたらゲーム続行です。
例:3人プレイであなたは「30」のカードを持っていて、A君が箱にカードを出しその数字は「40」でした。この場合、あなたはゲームをストップさせて「30」のカードを公開します。C君は「40」より大きい数字だったので、今回は特に何もありません。この場合、ライフは1ポイント減ることになります。
4.ステージクリア
全プレイヤーの手札が0枚になり、ライフが残っていればゲームクリアです。次のステージに進みます。もし、今回クリアしたのが第3ステージの場合は、その時点でゲームクリア!ゲーム終了となります。
5.次のステージの準備
ステージをクリアしたら、まずボーナスとしてライフが1ポイント回復します。(3が上限)また、2人プレイではライフ回復ボーナスはありません。
次にナンバーカードを全て回収して、新しく山札を作り直し、手札を再度配布します。
*配る枚数はステージが進むごとに1枚増えていきます!第2ステージなら2枚といった具合です。手札宣言の時は最低1枚だけ宣言してください。なるべく小さい数字を出しましょう。
以上の準備が終わったら、「1.テーマの決定」に戻ってください。
第3ステージのみに適用するルールについて
第3ステージでは「モモちゃん」というキャラが登場します。
ナンバーカードの山札を作り直した段階で、カードを1枚引いて場の脇に表向きで置いてください。このカードがモモちゃんのナンバーカードです。
第3ステージでは「2.手札の宣言」の時、モモちゃんのナンバーカードの宣言も行ってください。モモちゃんの数字はわかっていますが、宣言する表現はみんなで話し合って決めましょう。
モモちゃんのカードは、第3ステージでカードを出す時大きな指針となります。
6.ゲームの終了
ゲームは第3ステージをクリアしたら全員のクリアとなります。
ゲームオーバーとなる場合は、ライフが0になった時と誤って手札の数字そのものを宣言してしまった場合のみです。
ゲームの準備(アカイイト)
次はアカイイト(協力・裏切りゲーム)について解説します。アカイイトは自分の数字とペアとなるプレイヤーの数字を足して合計100を目指すことが目的です。
ちなみにアカイイトでは嘘をつくことも作戦の1つとなります。うまく嘘をついて、ゲームに勝利してください。
ゲームの準備
- ナンバーカードをまとめてシャッフルし、裏向きの山札とする。
- ナンバーカードの山札から各プレイヤーに1枚ずつカードを裏向きで配る。
- テーマカードをシャッフルして、裏向きの山札にする。その後ナンバーカードの山札の隣にテーマカードの山札を設置します。
- スタートプレイヤーをじゃんけんなどの適当な方法で決める。
以上で「アカイイト」のゲーム準備は終了です。
ゲームの流れ
- テーマの決定
- 手札の宣言
- フリートーク・ペアになる
- 結果発表
- ゲーム終了
以上となります。
「2.手札の宣言」まではクモノイトとほぼ同じです。詳しくはクモノイトの解説を参考にしてください。クモノイトと違う点は以下の通りです。
- ライフが存在しない
- 手札は毎回必ず1枚
- スタートプレイヤーから時計回りに順番でカードを宣言する
- テーマはスタートプレイヤーによって決められる
以上となります。
次は「3.フリートーク・ペアになる」から解説していきます。
3.フリートーク・ペアになる
手札の宣言が終了したら、2人の数字を足して合計100になる相手を探します。
会話の中で自分の数字を足したら100になりそうなプレイヤーにペアになろうと誘いましょう。相手が承諾したらペア成立。ペアとなったプレイヤーは、手札を場に伏せて他の人の行動が終わるまで待ちましょう。
注意点
- ペアは一度成立してしまうと解消できません。しかし会話には参加することができます。
- ゲームの参加人数が奇数の場合は、1人溢れてしまいます。溢れたら得点がもらえないので、早めにペアを組みましょう。
4.結果発表
可能な限りペアが成立したら、結果発表です。
ペアが組めなかった人と、最後にペアを組んだ人達から順番に伏せたカードを公開していきましょう。その後は得点計算に移ります。得点計算方法は以下の通りです。
- 100に1番近いペア→全員に2ポイント加算
- 100に2番目に近いペア→全員に1ポイント加算
- それ以外のペア・合計100を超えたペア・ペアを組めなかった人→得点なし
以上となります。
この時点で合計100ぴったりとなったペアがいたら、その時点でそのペアの勝利です。
また、5ポイント獲得したプレイヤーが2人以上になった場合に、その2人が勝者となります。
この時点で勝利条件が誰も満たしていない場合は、第2ラウンドを行ってください。第2ラウンド基本的にはクモノイトと同じ要領で準備できます。(*手札は増えることはありません!)
5.ゲーム終了
ゲーム終了条件はまとめると以下の通りです。
- 結果発表で合計100ぴったりのペアが現れた場合→そのペアの勝利
- 5ポイントを獲得したプレイヤーが2人以上になった場合→5ポイント以上獲得したプレイヤー達の勝利
終了条件の両方を同時に満たした場合は、100点ぴったりのペアが優先して勝者となります。
「100のペテン師」について
アカイイトの「100」カードには、特殊なルールがあります。
「100」を引いたプレイヤーはどんな数字を持つプレイヤーとペアになっても、必ず1ポイント獲得することができます。ペアとなった人は得点になりません。(必ず100を超えるため)
よって、100を引いたら嘘をついてペアを組むようにするのが得策となります。
感想:1人1人違う個性を実感できるコミュニケーションゲーム!
「ito」は価値観の違いをうまくテーマに落とし込めたコミュニケーション系ゲームなのですが、うまくテーマをゲームに落とし込められているなと思いました。
バチバチな心理戦ではありませんが、みんなでワイワイ遊ぶにはうってつけのゲームです。しかも「クモノイト」と「アカイイト」の2つのルールでも遊べることからお得感もあります。
「クモノイト」は全員協力型なので、家族や子供と遊ぶ時に合っているかなと思います。その人の隠された一面や、独特な感性が表れて面白いですし、どんな人でも楽しめるというのも良いなあと思いました。
一方、「アカイイト」は裏切りも含めたゲームとなっています。実際に遊ぶと高い数字が手札となった時は、中々ペアになれそうな人がいません。しかも自分が高い数字のカードを持っていることを相手に悟られたら、ペアになることすら怪しくなる場合もあります。
この時自分は持っているカードよりも少ない数字を持っているような表現をして、わざと合計100以上になるようにすることで、相手を道連れにするという戦法もとれます。自分が良いペアを作れないと思ったら、そのような方法でやり過ごしたりゲームを掻き乱したりするのも面白いでしょう。
また、白紙のカードも何枚か同梱されているので、自分たちでテーマを作って遊ぶこととも可能です。
このように「ito」は、色々な遊び方ができて朗らかなコミュニケーションゲームだなあと思いました。誰でも気軽に楽しめるところも魅力的ですね。
まとめ
「ito」は人の価値観や感性の違いを楽しめるコミュニケーションゲームでした。
「クモノイト」と「アカイイト」という2つのルールで遊べるめ、幅広い遊び方ができる朗らかで楽しいボードゲームです。
どんな人でも楽しむことができるゲームなので、ボードゲームを初めて遊ぶという方にもオススメです。ぜひ家族や友達と遊んで見てくださいね。