時代は15世紀のフィレンツェ。メディチ家が権勢を誇っていた時代です。
フィレンツェでは、世界中から珍しい品物を載せた多くの船が港にやってきました。そこでプレイヤーのあなたは商人として活躍します。
商人であるあなたは、他のライバルである商人より先に欲しい商品を見極め、できるだけ安く商品を仕入れましょう。そして他の商人よりも巨大な富を築くのです。
基本情報
プレイ人数:2人〜6人
プレイ時間:約1時間
対象年齢:10歳以上
ゲームデザイナー:ライナー・クニツィア
「メディチ」はどんなゲーム?
「メディチ」はいわゆる「競りゲー」と、言われるジャンルのボードゲームです。
値上がりしそうな商品を狙って、オークションのようにお金を出し、商品の値段が変わっていく。競りゲーは、まさにそのような感覚を楽しめるボードゲームです。
ライナー・クニツィアは競りゲーでは代表格と呼ばれるようなゲームを何個か発表しています。「メディチ」はその代表格の競りゲーの1つです。
「メディチ」は本記事で紹介するものとは別に、カードだけを使った簡略版「メディチ」もあります。本記事ではゲームボードを使った正統版の紹介ですので、ご注意ください。
ゲームの遊び方
ゲームの準備
・プレイヤーは自分の扱う色を1つ決め、船ボードと自分の色のプレイヤーコマ6個を受け取ります。*2人プレイの場合、追加船ボードを1枚ずつ使用
・ゲームボードを中央に設置します。自分の色のプレイヤーコマを、ゲームボードの以下の場所に1個ずつ設置しましょう。
①ゲームボード中央に描かれている5つのピラミッドの1番下。
②ゲームボード下の所持金トラック。ゲーム開始時の所持金はゲーム参加人数によって規定されています。
・ゲームボード右上のラウンドトラック(1〜3の数字が描かれた箇所。)に黒いラウンドマーカーを「1」に設置。
・商品カードをシャッフルし、ゲーム参加人数によって規定された枚数分をゲームから取り除きます。残ったカードは山札としてゲームボードのそばに置いておきましょう。
・スタートプレイヤーを適当な方法で決めましょう。ゲームは時計回りに進行します。
以上でゲームの準備は終了です。
ゲームの流れ
ゲームは各プレイヤーの手番ごとに進行していきます。
自分の手番になったら、以下の手順でゲームを進めましょう。
1.競り商品グループの作成
まずは競りに出す商品のグループを作ります。
手番のプレイヤーはまず、山札からカードを1枚引き全員に公開しましょう。
1枚目を公開したら、次に2枚目、3枚目と山札からカードを引いて公開します。この時、カードは4枚目以上引くことはできません。ここで山札から引くカードは3枚までです。
また、手番プレイヤーは1枚目や2枚目でカードを引くことを、任意でやめることができます。
カードを引くことをやめたら、ここで引いたカードのグループが、競りに出す商品となるのです。
2.競り
競りに出す商品グループを作成したら、競りに入ります。
競りはカードを1枚ずつ出すのではなく、常に作成した「グループ」で出しましょう。
商品グループが競りに出されたら、手番プレイヤーの左側にいるプレイヤーから付け値を宣言します。自分がいくらで買うのかを宣言しましょう。
付け値を宣言するチャンスは1回です。そして、前のプレイヤーよりも高い付け値で金額を宣言しなければなりません。買いたくないのならパスすることもできます。
最後に付け値を宣言するのは、手番プレイヤーです。これで商品グループの金額が決定します。
3.商品を船に載せる
全てのプレイヤーが付け値かパスを宣言したら競りは終了です。
一番高い金額を付けたプレイヤーが、競りに出された商品グループを獲得します。そしたら商品グループのカードを、表向きのまま自分の船ボードに置きましょう。
その後、自分が付けた値段と同じ分の金額を、所持金トラックで減らさなければなりません。
自分の所持金を示している所持金トラックに置いた自分の色のプレイヤーコマを、自分の付け値と同じ分だけ下げます。
この時、所持金が「0」となってはいけません。つまり、競りの段階で自分の所持金を越える金額を付け値として宣言することは不可能です。所持金はマイナスにはならないということですね。
上記による支払いが完了したら、手番プレイヤーの左側の人が、新たに商品グループを作成します。
競りに関するルール
競りに関しては適用されるルールがいくつかあるので、順番にご紹介します。
- 船ボードを越える枚数の商品グループは購入できません。このような場合は競りの時はパスをする必要があります。
- 他のプレイヤーの誰もが購入できないような商品グループは作成できません
- 船ボードがいっぱいになったプレイヤーは、一旦ゲームから離脱します。ラウンドが終了するまで競りも商品グループ作成にも参加しません。
- 「0」で付け値を宣言することはできません。必ず「1」以上で宣言します。
- ある商品グループで誰も付け値を宣言せず、全員がパスをするケースがあります。その場合、その商品グループは全て捨て札とし、ゲーム準備時に取り除いた商品カードと一緒にゲームから除外しましょう。
ラウンド(1日)について
「メディチ」は3日間を通したゲームなので、ラウンドは3回までです。
1人のプレイヤーを除いたプレイヤーが船ボードを全て商品カードで埋め尽くしたら、残りの1人のプレイヤーは、山札からカードを引いて自分のボードを商品カードで埋めます。
この時、置いた商品カードの金額は払う必要はありません。しかし、必ずその時引いたカードを船カードに設置します。(自分で選べないということ)
*山札がない場合は、山札にあるカードをできるだけ引いてください。それでも船ボードが空いてしまうのなら、そのままで構いません。
もし山札がなくなったら、その時点でラウンドは終了です。船ボードの空きスペースもそのままにしておきましょう。
以上で1日目、第一ラウンドが終了となります。
1日が終了したらラウンドマーカーを1マス進めましょう。そして、3日目が終了したらゲームは終了となります。
2日目と3日目を始める場合は、ゲーム準備時に取り除いたカードも合わせて再びシャッフルし、同じように新しく規定の枚数をゲームから取り除きましょう。
2日目以降は、最も所持金の少ないプレイヤーが新たなスタートプレイヤーです。
得点計算について
1日の終わったら、2日目に入る前に得点計算を行いましょう。そして1日の終わりに、各プレイヤーは購入した商品から報酬を受け取ることができます。
得点計算はまず、船ボードに置いてあるカード全ての数字を合計します。その合計した数字を元にプレイヤーの順位が別れ、受け取る報酬が決定するのです。
受け取る報酬額は以下の画像の通りとなります。最下位は報酬はありません。▼
2人以上のプレイヤーが同点の場合、関係する順位の報酬額を合計し、同点のプレイヤー人数で割ります。端数は常に切り捨てです。
獲得した金額だけ、所持金トラックのプレイヤーコマを進めましょう。
商品の独占について
報酬を受け取るには、上記項目以外にもう一つ方法があります。それが、「商品の独占」です。
各プレイヤーは1日の終わりにの得点計算後に、自分の船の商品の種類とその枚数を確認しましょう。自分の船に置いてある商品に対応した、ゲームボード上のピラミッドのプレイヤーコマを、購入した枚数分のマスを動かします。
プレイヤーコマを動かしたら、それぞれのピラミッドの一番上にいるプレイヤーは「10」の報酬を受取ることができます。2番目にいるプレイヤーは「5」です。(2人プレイの場合は、2位は報酬はありません。)
*同点の場合は、関係する順位の金額を合計して同点のプレイヤー人数で割ります。端数は常に切り捨てです。
さらに、ピラミッドの一番上から三番目は、ボーナス点が表記されていません。そのスペースまでプレイヤーコマを進めたプレイヤーは、1位のボーナスの他に表記された数字分のボーナス報酬が獲得できます。
ゲームの終了
3日目の得点計算が終了したら、ゲームの終了。
この時点で最も所持金が多いプレイヤーが勝利です。同点の場合は、同じ順位となります。
感想:まさしく「競りゲー」の傑作と断言できるゲーム!
ボードゲームデザイナーの巨匠であるライナー・クニツィアが手がけた「競りゲー」の数々。「メディチ」はその競りゲーの中でも、トップを争うほどの名作です。
同デザイナーの競りゲーでは「モダンアート」や「ラー」などが有名ですが、「メディチ」も引けをとらない面白さであることは間違いありません。デザインも渋くてかっこいいです。
実際に遊んでみるとそのゲーム性の奥深さに圧倒されます。なぜなら、ジレンマとプレイヤー間のやり取りが絶妙です。ルールも洗練されていて、ゲームとしての完成度も高いですね。
競りゲーは相手の出方にも多く依存するゲームなので、攻略やコツといったものが簡単には思い浮かばないところがネックです。
初めて遊んだ時は、どのように攻めていけばいいのか全くわからずに、手探りで遊んでいました。特に値段の付け方が難しく、うっかり高めに宣言したりすることが多くあります。
勝つためには、できるだけ少額で価値の高い商品を狙っていかなければなりません。しかし、船に載せられる商品が5つまでというところが、また絶妙です。微妙に取りにくいように設置されています。先に他のプレイヤーが上がったあとに、高価な商品が出て、簡単に手に入るなんてこともあり得るので、気が抜けません。
闇雲に高い商品を狙っていけばいいだけでなく、同じ色の商品をラウンドを通して集めることで大きなボーナス点が獲得できます。このような得点を狙わないわけにはいかないので、選ぶ商品も金額だけにとらわれずに選択していく必要があります。相手にとってなんの商品が価値があるのかを考えることも必要不可欠です。
戦略的に難しいゲームですが、ジレンマやプレイヤー間のやり取りが病みつきになるようなゲームだと思います。競りゲーが好きなら絶対に遊んでおいた方が絶対いい作品です。
まとめ
「メディチ」は競りゲーの傑作ボードゲームであり、驚くほど奥深いゲーム性を秘めています。難しいところもありますが、絶妙なジレンマとプレイヤー間のやり取りが思う存分に楽しめますね。まさに競りゲーの傑作にふさわしいゲームです。競りゲーに興味がある方は、遊んでおかないともったいないと思います。
古くから愛されている傑作競りゲー「メディチ」。ぜひこの機会に遊んでみてはいかがでしょうか。