ゲームは前半と後半に分かれており、前半は手札構築、後半はオークションとなっているボードゲーム、「ビブリオス 中世の写本師」のレビューをしたいと思います。
写本というのは、手書きで複製された本や資料などの文書、またはその行為そのものを意味するらしいです。このゲームの箱は本のようになっているので、写本を意識しているのだと思います。
基本情報
プレイ人数:2~4人
対象年齢:10歳以上
プレイ時間:30分
ゲームデザイナー:スティーブ・フィン
ビブリオス 中世の写本師はどのようなゲーム?
プレイヤーは中世のキリスト教僧院の修道院長です。他の修道院長達と蔵書を競います。そのためには材料や写本職人を雇って、貴重な蔵書を複製しなくてはいけません。そして、限られた資金と相談し、教会の怒りを買うことなく、他の修道院長より蔵書を集めたプレイヤーの勝利です。
カードの種類
・分野カード
基本的にはこの分野カードを種類別に集めていきます。
分野カードは右上の分野のシンボルと左上の数字が記載されています。左上の数字は価値です。最終的にこの価値の合計が分野別に一番大きなプレイヤーが勝利点を手にします。
もし、価値が同点の場合は右下に記載されてある、アルファベットがAに近いカードを持っているプレイヤーが勝利となります。
・金貨カード
金貨カードは、後半の競りフェイズに支払うお金となるカードです。これがなければ、競りフェイズでカードを入札することができません。
・教会カード
教会カードは、写字室ボードのサイコロの目を変動させることができます。
このサイコロの目が勝利点となりますので、教会カードは相手の集めている分野のサイコロの目を減らして、勝利点を下げることができるほか、自分の集めている分野の勝利点を上げることができます。
左上がサイコロの目を変動できる値です。(+1はサイコロの目を1つ上げることができる)
右上が修正を受けるサイコロの数です。
上の画像だと、左が1つのサイコロを1の目分上げることができ、右は1つのサイコロを1の目分下げることができます。
教会カードは、自分の手札に来た瞬間に能力が発動します。つまり教会カードを自分の手札にストックしておくことはできません。
ゲームの流れ(前半:寄進フェイズ)
このゲームは前半と後半に分かれます。前半は寄進フェイズといいます。
・ゲームの準備
写字室ボードにサイコロを3の目にして色ごとに設置します。プレイ人数に応じた枚数のカードの山札を場セッティングします。
・カードを分配する
自分の手番になってやることは山札のカードの分配です。分配する枚数は参加プレイヤーの人数によって決まります。(プレイヤー4人→分配枚数:5枚、プレイヤー3人→分配枚数:4枚)
カードの分配方法はまずカードを一枚引きます。引いたカードを確認し、以下のいずれかの場に裏向きで設置します。
・競り札置き場(1枚)
・自分の場(1枚)
・共通の場(残りの枚数)
競り札置き場に置かれたカードは後半の競りフェイズの山札として使用します。
自分の場に置かれたカードは、自分の手番終了後、自分の手札となります。これは後半の競りフェイズでもしようします。
共通の場に置かれたカードは表向きで置かれます。自分の手番でカードの分配後、他のプレイヤーが時計回り順に共通の場に置かれたカードを1枚選び、手札に加えます。
寄進フェイズではこのような手順を繰り返し、山札がなくなるまで、自身の手札と競り札を構築していきます。
ゲームの流れ(後半:競りフェイズ)
寄進フェイズが終了したら、構築された競り札をよくシャッフルします。
・競りのやり方
競りフェイズで自分の手番になったら、競り札からカードを一枚引き、表向きで中央の場に出します。
*競られるカードが金貨カード以外
その後、時計回り順にカードを引いたプレイヤーの左隣から、購入金額を1以上で入札するかパスするか宣言します。これを全てのプレイヤーがパスするまで続けます。
*一度パスしたらその競りには二度と参加できません。
*まったく入札されず、全てのプレイヤーがパスしたらそのカードは捨て札をなります。
最高額で入札が確定したプレイヤーは手札から金貨カードを入札額分を組み合わせ、捨て札にして、競られたカードを自身の手札にすることができます。
*競られるカードが金貨カードの場合
競られるカードが金貨カードの場合、金貨の代わりに支払うものは自身の手札のカードです。
自身の手札を好きな組み合わせで、入札していきます。
入札したら、入札額と同じ枚数分のカードを自分の手札から自由に組み合わせて、捨て札にして金貨カードを入札できます。
ゲームの勝敗
競り札が全てなくなったら、ゲーム終了です。
プレイヤーは自分のカードを分野ごとにわけ、それぞれの種類の価値の合計を割り出します。
その価値の合計が最も大きいプレイヤーがその分野の勝利点を獲得します。写字室ボードから、その分野のサイコロを受け取り、勝利点を示します。
*カードの価値は勝利点にはなりません。あくまでサイコロの目という勝利点を手にするために比較するものです。
そして一番勝利点の合計が大きいプレイヤーの勝利となります。
感想
かなりの戦略性が要求されるゲームだと思いました。
慣れてくればシンプルに感じることができると思います。
前半の寄進フェイズで相手の集めている分野カードを予測することが大事です。
もし、特定の分野カードを集めているプレイヤーが多いと、その分野カードは後半の競りフェイズで高騰してしまい、その分野カード獲得するのが難しくなってしまいます。
後半では金貨カードが不足したり、逆に金貨カードが余ってしまうなんてこともあります。これは前半の寄進フェイズでの手札構築で決まるので、寄進フェイズがかなり重要です。
運の要素としては寄進フェイズでは1枚ごとに分配していくので、最初で自分の手札にしてまった場合、後で引くカードのほうが欲しかったなんてことがあります。見極めが重要です。
相手の手札を予測し、どの分野カードを狙っていくのかが重要です。そのためには相手の集めている分野をよく考えなければいけません。あまり露骨に集めていると、教会カードで勝利点を減らされることもあります。非常に悩ましいゲームです。
最後に
感想にも書きましたが、とても戦略性の高いゲームだと思います。
実際にゲームをやると、みんな深く考え出して、無言になるときがしばしばあります。
30分ほどのゲームですが、かなり密度が高いゲームだなぁと思いました。
ゲームの箱が本の形をしているなど、デザインも凝っていて面白いです。