世界は今、終焉の時を迎えようとしています。
想像もつかないほどの力を持つ古のものどもが目覚めた時、世界は終わりを告げるでしょう。彼らの影響力はすでに現実世界に及ぼしているのです。世界各地でゲートが開き、恐ろしいモンスターが各地で出現し始めています。
あなたは世界を守らなくてはなりません。古の謎を解き、古のものエンシェントワンを葬りさることがあなたの目的です。
基本情報
プレイ人数:1人〜8人
プレイ時間:120分〜240分
対象年齢:14歳以上
ゲームデザイナー:コリー・コニエツカ ニッキー・ヴァレンス
「エルドリッチホラー」はどんなゲーム?
「エルドリッチホラー」はクトゥルフ神話を元にした、TRPG風ボードゲームです。大きなゲーム盤と膨大なプレイ時間、クトゥルフっぽいダークファンタジー的なデザインが魅力的ですね。濃厚なゲーム体験ができることは間違いありません。
ゲーム自体は協力型ゲームなので、勝ち負けはプレイヤー全員が勝利するか敗北するかのゲームになります。ゲームの難易度も高いので腕に覚えのあるプレイヤーはぜひ挑戦してみてください。
ゲームの遊び方
ここではエルドリッチホラーの遊び方の流れを簡単に解説していきます。
「エルドリッチホラー」は細かなルールが膨大にあるので、実際に遊びながら確認していくのがよいでしょう。
ゲームの目的
プレイヤーは探求者となってエンシェントワンの目覚めを阻止することが目的です。エンシェントワンの目覚めを阻止しプレイヤーが勝利するには、3枚のクエストカードを達成することが必要になります。
もしエンシェントワンが目覚めてしまった場合は、3枚のクエストカードを解決した後にエンシェントワンカードに記された最終クエストをクリアすることがプレイヤーの勝利条件です。
ゲームの準備
- ゲームボードと各トークン、リファレントカードを準備する。
- 探索者を選択し、探索者コマをゲームボードに設置する。設置する場所は探求者シートに記載されています。この時探索者リーダーも決めて下さい。
- 探索者シートに記されている体力と正気トークン、初期所持品を受け取る
- 今回のゲームの敵であるエンシェントワンを選択する。選んだエンシェントワンに記されたテキスト通りの準備を行う。
- モンスター袋を用意。特殊モンスター以外のモンスタートークンを不透明な袋などによく混ぜていれておく。
- 各カードを種類ごとに裏向きで分ける。
- 神話デッキを作る(神話デッキは下記を参考にしてください)
- 助力カードの山札から4枚引き、それぞれを表にしておく。
- リファレンスカードを参考にゲームボード上の都市にゲートトークンを設置。そしてゲートトークンを置くたびにモンスター袋からモンスタートークンを引いて、設置したゲートトークンの上に置く。
- 探検カードの山札から1枚カードを引き、同じ絵柄の絵が記されたマスに、探検場所トークンを設置する。
- クエストカードを1枚引き、エンシェントワンカードのそばに置いておく。
以上でゲームの準備は終了です。
神話デッキの作り方について
神話デッキは、3種類のカードを組み合わせて作ります。作り方は以下の通りです。
- 神話カードを色ごとに3つに分ける
- エンシェントワンシートを参考に、ステージⅠからⅢの山を作る。
- ステージⅢの山札を一番下に、その上にⅡ、Ⅰを積み上げ1つの山札にする。
以上で神話デッキの完成です。シャッフルせずにエンシェントワンカードのそばに置いておきましょう。
ゲームの流れ
ゲームは以下の3つのフェイズを繰り返して進行します。ゲームの終了条件が達成されるまで、この流れを繰り返していきます。各フェイズごとに探索者リーダーから時計回りに順番に進行していって下さい。各フェイズごとに簡単に説明しますね。
①アクションフェイズ
このフェイズでは、探索者ごとに2回のアクションを行うことができます。アクションは以下の中から選んで下さい。ちなみに探索者は、下記のアクションを1回ずつしか行なえません。同じアクションを2回連続で行うことは不可能です。
*所持品に記されたアクションを行う場合は、2つの所持品、つまり別々の所持品に記されたアクションなら2回続けてアクションを行うことができます。
・移動
・休息
・トレード
・旅行チケットの入手
・助力カードの入手
・所持品に記されたアクション
以上のアクションを順番に説明していきますね。
・移動
探索者は任意のルートで自分の探索者コマを動かすことができます。
隣のマスに移動した後、探索者は旅行チケットトークンを使用することで、好きなだけ移動することが可能です。旅行チケットトークン1枚につき、1マス移動できます。
しかし、旅行チケットには船と鉄道があります。船は海上ルート、鉄道は赤茶色のルートしか移動できません。
・休息
探索者は体力1点と正気度1点を回復することができます。しかし、探索者と同じマスにモンスタートークンがある場合は、休息を行うことはできません。
・トレード
探索者は同じマスにいる探索者に所持品を上げたり交換したりすることができます。
・旅行チケットの入手
探索者が都市マスにいる時、旅行チケットトークンを1枚もらうことができます。
しかし、貰える旅行チケットは止まっている都市から出ているルートに対応している旅行チケットしかもらえません。
また、探索者は旅行チケットトークンを全部で2枚までしか持てません。3枚目を得た場合は、手持ちが2枚になるまで旅行チケットを捨てて下さい。
・助力カードの入手
探索者が都市マスにいる場合、助力カードが得られる可能性があります。探索者と同じマスにモンスタートークンがある場合はこのアクションは行なえません。
助力カードを得る場合は、最初に影響力の能力判定を行いましょう。能力判定についてはこの先にある戦闘でも関係しておくので、後述する「能力判定について」をよく読んでおいて下さい。
成功したダイスの数をコストとして消費し、助力置き場にあるカードをコスト分、好きに得ることが可能です。ちなみに助力カードのコストは左上に記されています。またカードを得る代わりに、助力置き場にあるカードを捨てることも可能です。
このアクションの終わりに、助力置き場に空いたスペースを埋めるカードを補充します。つまり助力置き場にはアクションの終わりに元に枚数を元に戻しておく必要があるのです。
「能力判定について」
探索者は指定されたスキルの数字と同じ数のダイスを振りましょう。振ったダイスに「5」か「6」がでれば成功になります。それ以外の目は失敗。これは後述する戦闘遭遇でも同じです。
中にはカードなどのテキストでダイスを振る数(スキルの数字)が上下する場合があります。その場合はそのテキストに従って下さい。しかし、対象のスキルを改善する効果。例えば、意志力を1プラスするなどの効果を持つカードを複数持っている場合、最も効果の高いカードのみを使用しなければなりません。
また、能力判定でダイスを振った後、探索者はクルートークンを1個消費することで、ダイスを1個振り直すことができます。これはクルートークンがある限り、何度でも使用することが可能です。
・所持品に記されたアクション
探索者は自分の所持品(カードや探索者シート)に記されたアクションのうちの1つを1回行うことが可能です。自分の所持品に記されたアクションは1ラウンド中に1回しか使用できません。
ちなみにローカルアクションと記されているものは、自分と自分と同じマスにいる他の探索者でも使用できます。
②遭遇フェイズ
各探索たちは探索者リーダーから時計回り順に、1回の遭遇を行いましょう。遭遇は以下の3種類あります。
戦闘遭遇は探索者がいるマスにモンスタートークンが置かれている場合に、必ず戦闘遭遇を行います。モンスタートークンがなければ、地域遭遇かトークン遭遇を任意に選んで遭遇フェイズを進めましょう。それでは順番に説明していきますね。
・戦闘遭遇
モンスタートークンはマスにあるトークン全てに対して行われます。順番は任意で各モンスター1回ずつ戦闘遭遇を行いましょう。戦闘遭遇のやり方は以下の通りです。
戦闘遭遇のやり方
モンスターと戦闘遭遇になった場合、探索者はまず遭遇するモンスタートークンを裏返して内容を確認しましょう。そして、戦闘は意志力(頭のアイコン)の判定と筋力(筋肉のアイコン)の判定で行います。
■意志力の能力判定
まずは意志力の能力判定を行わなければなりません。
成功したダイスの数(「能力判定についてを参考)が、モンスターの恐怖値より少なかった場合、その差分に等しい数値だけ、探索者の正気度が下がります。
■筋力の能力判定
意志力と同じように、筋力の能力判定を行いましょう。
成功したダイスの数がモンスターの攻撃力より大きかった場合、その差分の数値だけモンスターにダメージを与えられます。この時与えたダメージの分の体力トークンを、戦闘したモンスタートークンの上に置いておきましょう。
反対にモンスターの攻撃力が成功したダイスの数より上だった場合、探索者はその差分に等しい数字の分の体力を失います。
このようにして、モンスターが探索者の体力以上のダメージを受けた時、そのモンスターを倒したことになります。倒したモンスターはモンスター袋の中に戻しましょう。もし探索者がモンスターを倒せなかった場合、与えたダメージはそのままでモンスターはそのマスにとどまります。
*特殊モンスター(タイルが欠けているもの)は、カードの効果で移動させたり除去することができません。筋力の能力判定のみで倒せます。そして特殊モンスターは倒したらモンスター袋に戻さず、ゲームから除外しましょう。
・地域遭遇
まずは探索者がいるマスを確認して下さい。そのマスが文字付きのマスや名前付きの四角いマスの場合、一般遭遇カードの山からカードを1枚引きます。
そのマスが都市名入りのマスだった場合、そのマスの半円と同じ色と同じ色の遭遇カードか一般遭遇カードの山のどちらかを選択してカードを引きます。
そして引いたカードに記された内容を実行して下さい。
・トークン遭遇
あるトークンが置かれているマスに探索者がいる場合に、トークン遭遇を行うことができます。各トークンによって行うことが違うので、下記を参考にして下さい。
クルートークン→リサーチカードを引く
ゲートトークン→異世界遭遇カードを引く
探検場所トークン→探検遭遇カードを引く
噂トークン→噂トークンは噂の神話カードによって置かれますが、ここではその噂の神話カードで指示された遭遇を実行して下さい。
敗北した探索者→ゲーム中に敗北した探索者現れることがありますが、敗北した探索者は横倒しにされマスに残ります。そのマスに他の探索者がいる時、敗北した探索者シートの裏面に記された内容を実行して下さい。
ちなみに体力0で敗北した時と正気度0で敗北した場合で内容が異なります。そして敗北した敗北者と遭遇した後、敗北した探索者シートをゲームから除外しましょう。
③神話フェイズ
ここでは探索者リーダーが神話カードの山から1枚引いたところから始まります。神話カードの上部には、様々なアイコンが記されていますよね。
アイコンに対応した処理を左から右に順番に行っていきます。これが終わったらカードの下部に記述されているテキストの内容に従い処理しましょう。
ここでモンスターやトークン、ゲートの出現が発生します。また、ゲームオーバーの時間制限である破滅トークンも進むのです。各処理はゲーム中に確認しながら、処理しましょう。
その他のルール
・敗北した探索者と死亡した探索者について
探索者の体力や正気度が0になった時、探索者は直ちに敗北します。その場合、以下のチャートで進めて下さい。以下のチャートを終了したら、神話フェイズの終了時に新しい探索者を選んでゲームに登場させましょう。
- 破滅トークンをすすめる
- 探索者トークンを一番近くの都市に移動させる。この時体力が0の場合には体力トークンを置き、正気度が0の場合は正気度トークンを1個を、横にした探索者コマに設置
- 所持品や状態カード、トークンを全て探索者シートの上に置いて、まるごと他のゲーム外においておく。
- 探索者リーダーが敗北した場合は、他の人を任意にリーダーにする。
また、ゲーム中の効果で探索者が死亡する場合があります。この時は、敗北した探索者と同じように処理を進めますが、上記の1と4のみ行って下さい。つまり、死亡した探索者については遭遇することができません。
・特別遭遇カードについて
カードには階層式遭遇カードと呼ばれるカードがあります。
カードのテキストは3段階に分かれていますが、一番上から処理していきましょう。一番上のテキストでは判定がありますが、成功したら2段落目、失敗したら3段階目のテキストに従って下さい。
このゲームは大量に細かいルールがありますが、まず最初に把握するのは無理なので、それらはゲームを遊びながら確認していくのが良いでしょう。
ゲームの勝利条件と敗北条件
このゲームの勝利条件と敗北条件についてまとめておきます。
勝利条件
- エンシェントワンが目覚める前に3枚のクエストカードを解決した場合
- エンシェントワンが目覚めた後、3枚のクエストと最後のクエストを解決した場合
敗北条件
- 各エンシェントワンシートの裏側に記載されています。
- プレイヤー全員が脱落した場合
感想:ボリューム満点の協力型クトゥルフボードゲーム!
「エルドリッチホラー」で印象に残るのは、なんといってもそのボリュームにあると思います。箱自体も思いですし、トークンもてんこ盛りです。プレイ時間も長くそれなりにまとまった時間がないとできないボードゲーム中級者以上向けといったところでしょうか。
さて、実際にゲームを始めてみるとはやり準備やルールの把握に一手間かかるといった感じでした。しかし、実際に遊んでみるとそんな鬱憤は見事に払われてしまいます。
最後の敵であるエンシェントワンやクエストカードで、ゲームの目的が毎回変わるので常に新鮮な感覚でゲームを楽しめました。毎回違った内容が楽しめるので、慣れてくるとワイワイ騒ぎながら遊べるでしょう。難易度も絶妙で負けることも多いのですが、独特の世界観につい引き込まれて時間を忘れて、つい熱中して遊んでしまいます。
コツとしてはプレイヤー同士でしっかりと役割を決めて、ゲート処理や探検役などを効率よく進めていくことだと思います。いかんせんルールの幅が広いので、細かいところを上げていけばキリがありません。
ゲームの流れ的にはシンプルなので、細かいルールに慣れていけばあまり躓かずに遊ぶことができると思いました。ただやはりルールの幅が広く、細かいところの処理に躓くことが多いので、初見は想定プレイ時間よりも多く時間を取られると思います。
ちょっとルールの把握に苦労しますが、その分の奥深さと面白さはあるはずです。拡張セットもあることから、かなり長くがっつりと遊ぶことができるボードゲームだと思います。
まとめ
「エルドリッチホラー」はボリュームが凄まじく、ルールも多いですが、その分濃厚な世界観と毎回何が起こるか分からないドキドキするゲーム展開が魅力のボードゲームです。
デザインも素敵ですし、ボードゲームが好きな人やクトゥルフが好きな人たちと集まって遊ぶゲームにはもってこいの作品だと思います。じっくり存分にボードゲームを堪能したいという方はぜひ「エルドリッチホラー」で遊んでみてはいかがでしょうか。