かつての戦争では隊列を組んだ軍同士で争っていました。戦争を指揮する指揮官は自軍の隊列を優位に動かすことで、敵隊列の分断や包囲を行い栄光を勝ち取ってきたのです。「バトルライン」では、そんな古代に行われた戦闘の戦術を扱うボードゲーム。知略の限りを尽くして勝利を勝ち取りましょう。
基本情報
プレイ人数:2人
プレイ時間:約30分
対象年齢:10歳
ゲームデザイナー:ライナー・クニツィア
「バトルライン」はどんなボードゲーム?
「バトルライン」はカードを使った2人用のボードゲームです。プレイヤーは9個のコマ(フラッグ)をカードの組み合わせで取り合う。カードの組み合わせはポーカーのように数字や色を揃えると強い役が完成し、相手より強い役を揃えるとフラッグを獲得できます。戦力性が強く、真剣なプレイが求められるボードゲームです。
ゲームの遊び方
ゲームの準備
9個のフラッグをプレイヤーの間に一列に並べます。(このフラッグの列をバトルラインと呼びます)
部隊カード(60枚)と戦術カード(10枚)を分けてそれぞれシャッフルし、それぞれをバトルラインの端に置きます。
その後、各プレイヤーに部隊カードを7枚ずつ配りゲームの準備は終了です。
ゲームの手順
カードを配らなかったプレイヤーからゲーム開始です。
自分の手番では以下のことを行います。
「自分の手札から部隊カードか戦術カードを1枚選択して、任意のフラッグの前に表向きで置く。その後、部隊カードか戦術カードの山札からカードを1枚引く」
以上が自分の手番で行うことです。
ちなみに山札がなくなっても、ゲームは続きます。
部隊カードについて
各プレイヤーは各フラッグの前にそれぞれ3枚の部隊カードを設置し、フォーメーションを作る必要があります。自分が設置した部隊カードはバトルラインより自分側に見えるように置きましょう。
部隊カードのフォーメーションには強いフォーメーションが順にあります。以下がそのフォーメーションです。①から順に強い役で並んでいます。
①くさび形ーウエッジー(ストレートフラッシュ)
→すべての色が同じで数字が連番 例:赤3、赤4、赤5
②方陣ーファランクスー(スリーカード)
→すべてが同じ数字 例:黄5、赤5、青5
③大隊ーバタリオンー(フラッシュ)
→すべて同じ色 例:赤2、赤8、赤9
④散兵ースカーミッシャーー(ストレート)
→すべての数字が連番でウエッジ以外の場合 例:赤2、黄3、青4
⑤烏合の衆ーホストー(役なし)
→上記以外の組み合わせ(赤2,黄4、青5)
相手の役と自分の役が同じだった場合は、カード3枚の数字の合計が大きい方が勝利します。その合計の数字も同じであれば、引き分けとなり最後にカードを配置しなければならなかったプレイヤーの負けとなります。
また、カードが出された順番は役の強さに影響しません。
フラッグの確保について
フラッグの確保は、基本的にカードを補充する前に行います。1個確保できる時もあれば、複数のフラッグを確保できる場合もあるので注意です。
そのフラッグの両側に双方両プレイヤーが3枚ずつフォーメーションを揃えていたら、単純に強い役を揃えたプレイヤーが勝利しフラッグを確保できます。
ただし、双方のプレイヤーのフォーメーションが未完成でも、特定のフラッグにおいて自分のフォーメーションが確定しており、かつ相手のフォーメーションが自分のフォーメーションを打ち負かす可能性が全くないことが証明できれば、そのフラッグを確保できます。
この証明は、自分のフォーメーションを打ち負かすのに必要な部隊カードがすでに他の場所に配置されていることを説明することでも成立可能です。
しかし、手札にあるカードを証明の理由にすることはできません。あくまで場に表向きで置かれているカードのみで証明しましょう。
例1:Aの役(黄3、赤3、緑3)とBの役(赤8、緑7)
→この場合はBの役が作れる最高の役はストレートのスカーミッシャーのみ。Aの役はBが作れる最高の役よりも強いことが確定している。よってAはフラッグを確保できます。
例2:Aの役(緑3、緑4、緑5)、Bの役(赤8) *赤7、赤10がすでに他の場所に配置されている。
→この場合、Aの役は一番強いウェッジであるので、Bは同じウェッジでありながらAよりも大きい数字でなければ勝てません。しかし、赤7と赤10が他の場所に置かれているため、3枚の連番が完成しませんよね。この場合はAの役が絶対にBよりも勝てることが証明できるのでAがフラッグを確保できます。
一旦フラッグが確保されたら、そのフラッグの場所には新たな部隊カードも戦術カードも設置することは不可能です。戦術カードで部隊カードを取り除くといったことも不可能で、二度と触れることはできません。
戦術カードについて
10枚ある戦術カードは、特殊能力を秘めたカードです。
任意で部隊カードを1枚引く代わりに戦術カードを1枚引いて確保することができます。各プレイヤーの手札の制限枚数はルール上7枚ですが、戦術カードは何枚でも手札に溜め込むことが可能です。
しかし、戦術カードは相手が配置した戦術カードの枚数よりも1枚以上多くの戦術カードを配置することはできません。つまり、相手が戦術カードを1枚も配置していない場合は、自分は1枚しか戦術カードを配置できないことになります。相手が1枚戦術カードを配置していたら、自分は2枚まで置けます。
戦術カードはカードによって、効果が違いますのでカードのテキストに従って実行しましょう。戦術カードは主に3つのカテゴリーに別れます。
①士気高揚戦術
自由に色や数字を適応できるワイルドカードのような能力を有しているカードです。
以下のカードは通常部隊カードを設置するところに置くことができます。
A.アレキサンダー、ダリウス
→どんな色でも数字にもなれるワイルドカード(このカードは各プレイヤー1枚ずつしか使用できません。)
B.援軍騎兵
→フラッグを確保する際に、都合の良い色の8になることができます。
C.盾
→フラッグを確保する際に、都合の良い色になり1、2、3のいずれかの数字になれます。
②気象戦術
これらのカードは任意のフラッグの自分側にフラッグを隣接するように配置します。一旦配置された気象戦術カードはゲーム終了まで取り除くことはできません。
A.霧
→フォーメーションの強さを無効にするカード。霧が置かれたフラッグは、双方3枚の設置されたカードの数字の合計数が多い方にフラッグを確保する権利が与えられます。
B.泥濘(でいねい)
→泥濘が配置されたフラッグは、両プレイヤー4枚のカードを配置して戦います。
③謀略戦術
このカードは戦術カードの山札の近くに設置します。一旦配置された謀略戦術カードはゲーム終了まで取り除くことはできません。
A.偵察
→部隊・戦術カードの山札から好きな組み合わせで3枚を手札に加えます。その後、引いた三枚のカードから1枚だけを手札に残して、後の2枚はそれぞれ対応する山札の一番上に裏向きで戻します。この場合、すでに手札が7枚になるはずなので、通常の手札補充は行いません。
B.配置転換
→まだ、確保されていないフラッグに配置されている自分の部隊・士気高揚戦術カードの中から任意の1枚を選び、別のまだ確保されていないフラッグに場所を移すか、取り除くことができます。
C.脱走
→まだ確保されていないフラッグに配置されている相手の部隊・戦術カードを任意で1枚取り除くことができます。
D.裏切り
→まだ確保されていないフラッグに配置されている敵の部隊カードのみに適応されます。敵の部隊カードの中から1枚を選び、まだ確保していないフラッグの自分の場所に移し替えることができます。
ゲームの終了
ゲームの終了は2通りのパターンがあります。
- 一方のプレイヤーが列の連続する3つのフラッグを確保する
- 列はバラバラでも計5個のフラッグを一方のプレイヤーが確保する
以上のいずれかの条件が達成された場合、すぐさまゲームは終了です。
上記の条件を達成したプレイヤーがすぐさま勝者になります。
感想:読み合い、戦略性全てが熱い傑作2人用ボードゲーム!
2人用ボードゲームの傑作と名高い「バトルライン」ですが、確かに何度も遊びたくなるだけでなく、非常に戦略性が高いゲームだと思いました。
ライナー・クニツィアの2人用ボードゲームに「ロストシティ」というゲームがありますが、「バトルライン」は「ロストシティ」をより洗練させたゲームになっている感じです。
「バトルライン」では基本的にプレイヤーは「待ちと我慢」の勝負になることが多い気がします。最初にカードを設置して、2枚めまで出すと相手の狙っているフォーメーションがわかりますよね。最強の役なら勝つ見込みはほとんどありませんが、他の役なら後から出した方が勝ちやすいです。
とは言っても、そう都合よく強い役が手札に舞い込んでくるわけではないので、どこかで賭けにでたり戦術カードを頼る必要もあるでしょう。無論どこにどのカードを置けば効率がよく、負けにくいのか。あるいは、どこかのフラッグやカードを捨てるのか。そのようなことも考えなければなりません。
勝率を少しでも高めるためにはとても頭を使う必要がります。相手の手札や狙っていることも考える必要があるので、「バトルライン」ほど真面目でガチな2人用ボードゲームはないのではないかと思いますね。まさに2人用ボードゲームの傑作と言われるにふさわしいゲーム内容だと思います。
まとめ
「バトルライン」は2人用ボードゲームの傑作と言うにふさわしい、戦略性と読み合いに長けたボードゲームです。がっつり2人でゲームを競いたいという方にはこれ以上のボードゲームはないでしょう。一度遊んだらとことんハマるようなゲームですので、ぜひ「バトルライン」を遊んでみてください。