「魔の山から帰ってきた者はいないー。」
そう言われる魔の山は、探検家仲間の間では有名な話となっていました。
プレイヤーはそんな魔の山の中にある古代文明の遺跡を目指します。
しかし、魔の山に眠る遺跡は、探検家たちの科学力を遥かに凌ぐ文明がありました。
果たしてあなたは、無事に魔の山から脱出することができるのでしょうか。
基本情報
プレイ人数:2人〜4人
プレイ時間:約30分
対象年齢:10歳以上
ゲームデザイナー:明地宙
「フォグサイト」はどんなゲーム?
「フォグサイト」は、ゲームマーケット大賞2019年に大賞を受賞したボードゲームです。
プレイヤーは遺跡側と探検家側に別れます。
遺跡側は探検家たちを遺跡から脱出させないように、探検家たちは、未踏の遺跡の中で同じ場所に集まって脱出を試みるのが目的です。
「フォグサイト」は、協力系の脱出ゲームながら、遺跡側との心理的なやり取りも楽しめる傑作ボードゲームになります。
ゲームの遊び方
ゲームの準備
「フォグサイト」は1人の遺跡役を担当するプレイヤーと、その他の探検家を担当とするプレイヤーに分かれて遊びます。まずは、遺跡役のプレイヤーを相談して決めてください。
ゲームの準備も遺跡側と探検家側で違いますので、それぞれ解説します。
*ゲームの性質から、遺跡側は探検家のプレイヤーの真向かいに座ることをオススメします。
■遺跡側プレイヤーの準備
- 「遺跡シート」を手元に置き、探検家たちから見られないように、ついたてで遺跡シートを囲う。
- 探検家が使用するコマの色の、探検家コマ(大)とスタートマス(大)を全て受け取る。衛
- 兵コマ1個、迷宮マス(大)17枚(3人プレイだと16枚)、内壁マス5枚、石室マス1枚、を受け取る。
- 迷宮を作成する。(詳細は後述)
- 作成した迷宮のスタートマス(大)の上に、同色の探検家コマを置く(大)。
- 完成した迷宮の石室マスの上に衛兵コマを置く。
★迷宮の作成
遺跡側のプレイヤーは探検家を迷わせるような迷宮を作成します。
迷宮作成の際には、いくつか守らなければならないルールがあるので、遵守してください。
- 迷宮は「5×5」のマスで構成される。
- スタートマス同士が隣接してはならない。
- スタートマスと石室マスが隣接してはならない。
- 全ての部屋(迷宮マスの表面とスタートマスの内側)は、ひと繋がりであること。(壁で閉ざしてはならない)
- 石室マスを任意の面で設置する際、石室マスに記載されている矢印の先のマスが、壁であってはならない。
*斜めは基本的に隣接するとはみなしません。
以上となります。
遺跡側が作った迷宮は、他の探検家たちに見られては絶対にいけません。注意してください。
■探検家側プレイヤーの準備
- 探検家は自分が使用する色を決め、その色の探検コマ(小)とスタートマス(小)を受け取る。
- 探検家シート1枚、透明シート1枚、警戒不可タイル1枚、休憩カード1枚、警戒カード1枚、疲労ディスク1個を受け取る。
- 探検家シートの上に透明シートを置く。その中央に自分のスタートマス(小)を設置し、さらにその上に探検コマ(小)を置く。
- 各トークンを載せた制限時間ボードを遺跡を隠すついたての前に置く。(各トークンの内訳は後述)
- 制限時間ボードの横にトークン管理ボードを置く。
- 探検家はそれぞれ自分が使用するキャラクターカードを1枚選び自分の手元に置く。
- 休憩カードと警戒カード、疲労ディスクと警戒不可タイルは、キャラクターカードの下に置く。
*選んだキャラクターは、遺跡側プレイヤーにバレないように注意しましょう。
★制限時間ボードに載せるトークンについて
まずフェイズマス1〜4の所定の場所に、ゲーム参加人数によって決められている枚数の迷宮マスを、それぞれのフェイズマスに置いてください。
その後、フェイズマスの上部にあるマスに、下記のトークンを置いてください。
- フェイズ1と2の間 → 移動トークン1枚、衛生コマ1個
- フェイズ2と3の間 → 移動トークン1枚
- フェイズ3と4の間 → 移動トークン1枚、守護神コマ1個
以上となります。
これでゲームの準備は終了です。
ゲームの流れ
まず一番はじめに、遺跡役は探検家を1人選びます。その後、選んだ探検家コマの色と、衛兵がそのコマに最短でたどり着くまでの部屋の数を宣言してください。
その後のゲームの大まかな流れは、以下の通りになります。
- 「探検家の手番」
- 「脱出への挑戦」
- 「行動予測」
- 「遺跡役の手番」
1.「探検家の手番」
探検家の手番では、それぞれの探検家が1回ずつ行ってください。
手番を実施する順番は、毎回探検家同士で相談して、決めてください。
探検家が1回の手番で行えるアクションは、3種類を好きな順番で何度も行えます。
手番を終了する場合は、自分の探検家コマを横に倒して終了しましょう。
探検家の手番で行えるアクションは以下の通りです。各項目ごとに解説します。
- 「探索」
- 「移動」
- 「能力使用」
・「探索」
自分の探検家コマがいるマスに隣接する空きマスを1つを選んで、東西南北で宣言します。
遺跡役は手元にある作成した迷宮を見て、探検家が選んだ方角に、部屋があるか壁があるか伝えてください。
部屋がある場合
探検家が制限時間ボードのフェイズマスの中の一番小さいフェイズマスに置かれた迷宮マス(小)を1枚取ってください。
そして部屋の面(表)を上にして、自分の探検家シートの宣言した方角に配置します。
その後、配置された部屋に移動を実施してください。移動に関しては次の「移動」の項目を参考にしてくだい。
壁がある場合
前述した部屋がある場合と同じ手順で、迷宮マス(小)を1枚とります。
そして壁の面(裏)を上にして、自分の探検家シートの宣言した方角に配置してください。
制限時間ボードに置かれている迷宮マスが、そのフェイズマスの最後の1枚であった場合、即座に「フェイズの終了」を実施します。「フェイズの終了」に関しては、後述しますので、そちらを参考にしてください。
フェイズの終了処理が終わったら、元の探検家の手番に戻ってください。
壁がある場合の手順を終了したら、その手番中はもう「探索」と「移動」を行うことはできません。
・「移動」
手番の探検家は、自分の探検家コマがいるマスに隣接する部屋のうち、1つを選んで東西南北で宣言します。宣言後、探検家シート上の自分の探検家コマを、宣言したその部屋に移動しましょう。
遺跡側では、自分の遺跡シート上の同色の探検家コマ(大)を同じ方角に移動させてください。
各探検家のシートと遺跡側のシートは連動してますので、間違えないように注意しましょう。
遭遇について
遺跡側で探検家コマ(大)が、遺跡シート上の衛兵コマや守護神コマのいる場所に移動した場合、遺跡役は「遭遇しました!」と宣言しても構いません。(宣言せずに流してもOK)
宣言した場合、「遭遇」の処理を実施します。
「遭遇の処理」
遺跡役が遭遇を宣言したら、制限時間ボード上の数字が一番小さいフェイズマスにある、迷宮マス(小)1枚を取り、箱にしまっておきます。
衛兵コマや守護神コマが複数いるマスで遭遇しても、取る迷宮マスは1枚のみです。
ここでもフェイズマスにある迷宮マスが0枚になったら、即座にフェイズの終了の処理を実施します。(後述で解説)
■フェイズの終了
フェイズは全部で4つあり、各フェイズマスの迷宮マス(小)がなくなるたびに、「フェイズの終了」の処理を行ってください。
フェイズ1終了時
フェイズ1と2の間に置かれた移動トークン1つを、トークン管理ボード上に表にして置いてください。遺跡役は衛兵コマ1個を受け取り、遺跡シートの石室マスに設置してください。
フェイズ2終了時
フェイズ2と3の間に置かれた移動トークン1つを、トークン管理ボード上に表にして置いてください。探検家はそれぞれのキャラクターカードの上にある、疲労ディスクを取り除いてください。
フェイズ3終了時
フェイズ3と4の間に置かれた移動トークン1つを、トークン管理ボード上に表にして置いてください。遺跡役は守護神コマ1つを受け取り、遺跡シートの石室マスに配置してください。
フェイズ4終了時
フェイズ4が終了した段階で、遺跡役の手番になるとゲーム終了です。時間切れとなり、遺跡役が勝者となってゲーム終了となります。
・「能力使用」
手番の探検家は、自分のキャラクターカードに記載されている能力を使用できます。
能力を使用した場合、手元のキャラクターカードの既定の場所に、疲労ディスクを置いてください。
*疲労ディスクがキャラクターカードに置かれている間は、キャラクターの能力を使用することはできません。疲労ディスクが取り除かれるタイミングは、フェイズ2の終了時のみです。
つまり、ゲーム中能力は最大2回使用することができます。
2.「脱出への挑戦」
1.「探検家の手番」が終了したら、探検家たちは「脱出に挑戦する」か、「脱出に挑戦しない」を選びます。
脱出に挑戦するを選んだ場合、遺跡役は自分の遺跡シートを確認してください。
遺跡シートを確認した結果、全ての探検家コマが同じマスにいた場合は、脱出成功。探検家たち全員の勝利となります。
もし、1人でも探検家コマが違うマスにいる場合、脱出失敗となり、遺跡側1人の勝利となります。
3.「行動予測」
脱出への挑戦をしなかった場合、「行動予測」を探検家は行います。
行動予測でそれぞれの探検家は、次の遺跡側の手番で、自分のコマが攻撃されるかどうかを予測します。
探検家は手元にある休憩カードか警戒カードを選択します。その後選択したカードを裏側にし、自分のキャラクターカードの横に置きましょう。
ちなみに、警戒カードに警戒不可タイルが置かれている場合、警戒カードを選択することはできません。
4.「遺跡役の手番」
遺跡役の手番になったら、まずはじめにトークン管理ボード上の移動トークンを全て表にしてください。遺跡役には、以下の3つのアクションがあります。これらも各項目ごとに解説していきますね。
- 「移動」
- 「攻撃」
- 「パス」
・「移動」
トークン管理ボード上の移動トークンを1枚消費する(裏向きにする)ことで、衛兵コマ1体を1マス移動させることができます。
移動できる箇所は、衛兵コマがいるマスの隣接している部屋の1つです。ここでも斜めは移動することはできません。
この時、探検家たちには移動した方向や、コマの種類は宣言しないで実施してください。
移動した先の部屋に探検家がいる場合、遺跡役はそのマスの探検コマ1個を選んで、「〜色の探検家を攻撃します!」と宣言しても構いません。(宣言せずにスルーしてもOKです。)攻撃を宣言した場合、次の攻撃の処理を実施してください。
・「攻撃」
攻撃宣言は、衛兵コマが移動した先の部屋に探検家コマがいた場合のみ宣言できます。
また、この手番で一度攻撃されている探検家に対しては、攻撃対象にすることはできません。
攻撃された探検家コマのプレイヤーは、そのキャラクターカードの横に伏せたカードを表向きにしてください。
伏せていたカードが休憩カードだった場合
衛兵の攻撃は成功です。制限時間ボード上の迷宮マス(小)を3枚取り、箱にしまってください。ここでも一番小さいフェイズマスに置かれた迷宮マスから取ってください。
もし、フェイズマスの迷宮マスがなくなったら、フェイズの終了の処理を実施しましょう。(前述参考)
フェイズ処理が終わったら、遺跡側の手番に戻ります。
*もし、迷宮マスが2枚以下だった場合、その2枚を取り、次のフェイズマスの迷宮マスから残りを取ってから、フェイズの処理を行ってください。
伏せていたカードが警戒カードだった場合
衛兵の攻撃は失敗です。特になにも起こりません。
・「パス」
もう移動しない、できなくなったらパスとなります。
パスになったら次の処理を行ってください。
①警戒不可タイルの解除
各探検家の警戒カードの上に置かれている、警戒不可カードを取り除く
②警戒不可タイルの設置
この手番で攻撃されなかった探検家は、それぞれ伏せていたカードを表にします。
伏せていたカードが休憩カードだった場合は、特になにも起こりません。
一方、警戒カードであった場合は、警戒不可タイルが置かれます。これにより、次の探検家の手番で警戒カードを伏せることができません。
③カードの回収と探検コマ(小)の回復
警戒不可タイルが置かれていない警戒カードや、休憩カードをそれぞれの手元に戻してください。また、探検家は倒してある自分の探検家コマを起こしましょう。
守護神コマについて
守護神コマはゲーム終盤に登場する強敵です。
衛兵コマと同様に、遺跡側で移動トークンを使用して移動することができます。
衛兵コマと違う点は以下の通りです。
- 移動トークン1枚で2マスまで移動可能。(1マスでもOK)
- 超攻撃が可能
超攻撃について
守護神コマは普通の攻撃ではなく、超攻撃となります。
守護神コマが移動した先にいる探検コマを1個選んで、「超攻撃」を宣言をしても構いません。(宣言をせずにスルーしてもOKです。)
ちなみに普通の攻撃とは違い、この手番で一度攻撃されている探検にも超攻撃の対象となります。あくまで普通の攻撃をされている探検家のみで、超攻撃をこの手番で2回、同じ探検家にヒットさせることはできません。
また、探検家が警戒カードを伏せていても、超攻撃は無条件でヒットとなります。
超攻撃が行われたら、制限時間ボード上の迷宮マス(小)3枚を取り、箱にしまってください。
もちろん、数字が小さいフェイズマスから迷宮マスから取りましょう。
迷宮マスが尽きたら、フェイズの終了も実行してください。
ゲームの終了
ゲームが終了するタイミングは、以下の3つとなります。
- 探検家たちが脱出に成功する→探検家全員の勝利
- 探検家たちが脱出に失敗する→遺跡側の勝利
- フェイズ4が終了する→時間ぎれで遺跡側の勝利
以上となります。
感想:遺跡づくりも探検も熱中する脱出ゲーム!
「フォグサイト」は2つの役割に分かれてゲームを行います。
遺跡側は探検家が迷ったりするような迷宮をつくったり、探検家を倒すことを目的とします。反対に探検家側は脱出と遺跡の迷宮の推理、及び他の探検家との協力が楽しめます。
遺跡側はゲームマスター的な立ち位置で、ゲームにある程度慣れているプレイヤーでないと厳しいです。実際に迷宮を作ることが、ゲーム中非常に重要ポイントとなるため、遺跡側の責務は若干重たく感じられました。
とはいえこの独特なゲーム、実際に遊んでみるとよくできており、ついつい熱中してしまいます。探検家側はもちろん推理と脱出が面白く、衛兵に攻撃されないかの読み合いも楽しめるでしょう。
遺跡側は自分の作った迷宮で、うまく探検家を迷わせられると、とてもおもしろい体験ができます。探検家では味わえないスリルと面白さが体験できるはずです。
ただ「フォグサイト」は4人でないと、なかなか盛り上がりが欠けるように感じます。そのため、なるべく最大人数の4人で遊ぶのがよいでしょう。
まとめ
「フォグサイト」は、脱出ゲームながらも、迷宮の推理やプレイヤー同士の駆け引きが面白い、ボードゲームでした。
少しゲームのルールに慣れる必要は感じますが、慣れてくるとついつい熱中してしまうゲームだと思います。
4人プレイなので、人が集まれる時にはぜひ体験していただきたいボードゲームです。ぜひ手にとって遊んでみてください。